祖母に思いやりのある子に育てる その2 第1029号 [D1 父と子塾]
◆リード:「思いやりのある子に育てる」というのは、わが家の子育てのビジョンの中でも、いの一番にくる最も大切に思っていることである。実母(クニコからは祖母)と同居しているわが家であるが、私はクニコにもう少し祖母に対して思いやりのある行動をとってほしいと願っている。そうした願いを達成するべく、今回の父と子塾を行った。
平成27年3月14日(土)
祖母に思いやりのある子に育てる その2 第1029号
ー小6の次女と第三期「父と子塾」第4回3/14(土)5:40~6:25ー
近況:
■3月1日(日)夜は、近くに住む義母と義兄を招いての、わが家恒例の伝統行事「ひな祭り会」であった。
長女アキコ(高1)が入園前から続いているので、およそ15年続いているわが家の伝統行事である。いつも義母と義兄を招待し、ごちそうを食べながら歓談し、その後トランプ「七並べ」を全員でする。お腹が空いたところで、ひな祭りケーキを前にして記念撮影。その後また、ケーキを食べながら歓談しておひらきとなる。
アキコ、クニコは、何歳になっても、ごちそうとケーキは好きなようである。恒例の伝統行事の強みでこの日ばかりは、何かとバッティングして中止ということはない。高校の教員をしていいる義兄は、なんと明日卒業式なのにかけつけてくれた。
前号「祖母に思いやりのある子に育てる その1」に次のように書いた。
2月だったと思うが、実母の話を聞いてあげていると、ぽつりと
実母「お前は優しくしてくれるし、アキコはよく話しかけてくれるけど、クニコはしてもらうばかりで(私への)ケアがない。」
と言っていた。
私も、同様に感じていた。
わが家の子育てのビジョンのいの一番にくるものは、「思いやりのある子に育てる」ことである。ところが、
「同じ家に住む家族であるのに、祖母のさびしさに気づかず、祖母にいろいろとお世話になっていながら感謝したりお返しに自分のできることもほとんどせずにいる」こうした状況は、思いやりのある子の対極にある と考えた。
何もむずかしいことは求めていない。
◎祖母からしていただいたことに「ありがたい」と感謝し、祖母がさびしくないようにあいさつと言葉がけを心がけてするようにすること。
これで十分である。
かくて、父と子塾できっちりと話し、改善しようと思った。
願い(ねらい)は明確だが、問題はどうやって改善するかである。
(続く)……前号より
【願いを達成するには、どうしたらよいか!?】
「祖母にはこんなにお世話になっているのに、感謝の気持ちが足りない!祖母はさびしい思いをしている。そんな祖母に毎日あいさつをしたり、一言何か言葉をかけたり(1日の出来事を報告したり、報告することが特になかったら聞いてあげたり)してほしい!」
このように一言言って、できるようになるなら苦労はいらない。これは親である私の願いであって親がやってほしいことである。祖母に感謝することや、あいさつしたり、何か一言言葉をかけたりすることが、本人のやりたいことーやる意味や価値を感じることーにならなければいけない。
小学校教員である私は、ちょうど1時間の指導法(1ねらい 2子どもの実態 3指導の展開)を考えると同じであった。大まかな指導の展開を次のように考えた。
■1 祖母にお世話になっていることに気づかせる
①新体操で送り迎えをしてくれたことなど、十あまり書かせる。
→ 自分で思い出してたくさん書かせることで、たくさんお世話になっていることに気づかせる。
■2 祖母にお返ししたことを思い出させる
①誕生日のプレゼントをあげたなど、思い出したことを書かせる。
当然、お世話になったことに比べて少ない。その差は歴然とする。
→ お世話になったいることに比べて、お返しがあまりに少ないことに気づかせる
■3祖母と日頃どんなふうにかかわっているかー現状ーに気づかせる
①朝は…
②帰宅後は…
③土曜日は…祖母の部屋で二人で寝ている。だが、あまり会話はなく、クニコはテレビを見ているだけのようだ。
④日曜日は…
⑤火曜日の夕食時(この日は習い事もなく家族みんなで会食)は…
⑥
視点を与えて、客観的に自分の行動をとらえさせる。つまり、あーちゃんとあまり会話のない現状に気づかせる。
■「お世話になっていながら、あまりお返しをしていないし、日頃あまりふれあっていない。」こうした自覚ができたところで、「お前が学校で友達と話している間も祖母はずっと家に一人でいてさびしい思いをしているんだよ。あーちゃん(祖母)をよろこばせるために何かできることはないか?」と問いかけて、自分でやれることを考えさせる。
たとえば、「あいさつ プラス一言運動」である。
「おやすみ」「ただいま」「行ってきます」などのあいさつをすること。特に「ただいま」と言った後に、一言その日の出来事を報告したり、特になかったらあーちゃんの様子を聞くということである。
現状は、あいさつと予定(今日は○○があるから送ってほしいなど)ぐらいなので、その日の出来事を報告できるようになれば、大きな大きな前進である。
【実際の様子は…】
~読んだ本の紹介コーナーなどが終わったところで、
■1あーちゃんにお世話になったこと
私「さあ、今日のメインの学習だよ。実はあーちゃん(実母、クニコからは祖母)のことについて考えてほしいんだよ。クニコは、あーちゃんに新体操で毎週送り迎えをしてもらっているけど、他にもどんなことでお世話になっているかな。少し考えてこのプリントに書いてみて。」
クニコ(…うーん。考えてプリントに書き始めるクニコ。10近くまですらすら出たが、それからは間を取りながらじっくりと思い出して書いていた。)
1.新体操で送り迎えをしてくれたこと
2.スカートをつくってくれたこと(手作り・新体操で使う)
3.フープケースをつくってくれたこと(手作り・新体操で使う)
4.毎週金曜日に食事を作ってくれたこと(毎週金曜日は実母が夕食をアキコ・クニコのために作ってくれている。子ども達は楽しみにしている。)
5.毎週土曜日にふとんをしいてくれたこと(毎週土曜日はあーちゃんの部屋であーちゃんと寝ている。
6.ヤマハのおくりむかえをしてくれたこと
7.夏・冬休みに習字を教えてくれたこと(あーちゃんは書家である)
8.おやつをくれたこと
9.合格のほごうびをくれたこと(金一封何かとよくあげている)
10.食器を洗ってくれたこと
11.ピアノを買ってくれたこと(100万円近くした。)
12.髪の毛をかわかしてくれたこと
13.誕生日プレゼントをくれたこと
14.マッサージをしてくれたこと……以上、本人が10分ほどで気づいたこと。
■2あーちゃんにお返ししたこと
私「たくさんあったね。まだまだあると思うけど、次にいくね。それじゃあ、逆にクニコがあーちゃんにお返しにしてあげたことは何だろう。思い出して書いてごらん。」
クニコ(…うーん。考えてプリントに書き出す。)
1.誕生日プレゼントをあげた。
2.料理をいっしょに作った。
3.しっぷをはってあげた。
4.テレビの録画をしてあげた。(あーちゃんが「しかたがわからない」と言うので)
5.携帯の使い方を教えてあげた
6.ピアノをえんそうしてあげた
7.おかずの味見をしてあげた……(5分ほど考えた)
■3あーちゃんといつ(どんなふうに)かかわっているか
私「うーん、お世話になった半分ぐらいはうまったかな。
お父さんも、あーちゃんには育ててもらってとってもお世話になったから、帰宅したら必ず「ただいま。」ってあいさつをして、「今日どうしてた?」と様子を聞いたり、「1日の出来事を話したりしているよ。あーちゃんは、一人でさびしい思いをしていただろうから、話しかけるようにしているんだよ。クニコは、あーちゃんとどんなふうにかかわっているの?プリントに書いてごらん。」
クニコ(…うーん。考えながら、プリントに書いていく。)
1.朝は…会ったらあいさつ。(実際には、朝はあーちゃんはまだ寝ていることが多い。)
2.帰宅後は…「だたいま」。あーちゃんを探して、今日の予定を話す。(送迎してもらうためなどで、基本自分のためである。)
3.土曜日は…テレビを見ながら、そのことについて話す。
4.日曜日は…夕食を呼びにいったり、エレクトーンをしながら話す。
5.火曜日の夕食時は…(空欄のままだった。)
6.車の中で、会話する。(習い事の送迎。実際はあんまりしていないはず)
■4あーちゃん、よろこばせ作戦!
私「クニコは日中、学校へ行っていてお友達と話したりしているでしょう。でも、あーちゃんは、友達が亡くなったり、年を取って自転車では来られなくなったりして、昔のようになかなか友達が遊びに来ることがないんだよ。だから、一人で家にさびしくしていることが多いんだよ。そんなあーちゃんをよろこばせるためにクニコはどんなことができるかな。プリントに書いてみよう。」
クニコ(…うーん。考えながら三つ書く。)
1.笑顔で話す。(あーちゃんに「クニコちゃん、もっと笑顔で話さないとだめだよ。」と再三注意されていたことを思い出したようだ。)
2.おいしいものは、おいしいと言って食べる。(これも黙って「食べていないで、おいしかったら、おいしいと言って食べると作った人は喜ぶんだよ。」あーちゃんに言われてきたこと。)
3.帰宅後にもっとしゃべる。
私(やった!3番目にこちらが是非ともやってほしいことが出た!と内心思った。)「この中で、あーちゃんが一番喜びそうなことは何かな?」
クニコ「うーん、『帰宅後にもっとしゃべる』かな。」
私「だったら、それを二重枠の中に書いてごらん。」
クニコ(二重枠の中に「帰宅後は、これからの予定以外にも、今日の出来事とかを話す。」と書いた。)
私「よく書けたね。じゃあ、そのことをこれからがんばってみてね。」
私「あーちゃんも、今年で80歳になるんだよ。平均寿命から言えば、あと5年ぐらいでなくなるかもしれないよ。クニコが中学生ときかもしれないし、高校生の時かもしれない。いつまでも生きているわけじゃないんだからね。」
…以上ちょうど30分の指導である。
1ヶ月後の父と子塾で、クニコに実際の様子を聞いてみるつもりである。もちろん、あーちゃんにも。
幸いあーちゃんとクニコとの関係は基本的には良好である。あーちゃんは間違いなくかわいがってきたし、そのことはクニコにも伝わっていた(お世話になったことの気づきでもわかる)。問題は、それを自覚していないこと、そして実際の自分がそれに対してほとんどお返しらしきことをしていないことである。そのことに気づけば、強制しなくても、何とかしたいと思うはずである。もともと思いやる心はもっているのだから。
クニコがより思いやりのある子に変われば、あーちゃんもより幸せになるはずである。
親は模範を示すことが最も大事だが、それだけでもやっぱりいけない。子どもの問題点にも気づき、それを改善するべくもう一押しが必要な場合もあるのである。
◆キーワード:1 祖母への思いやり 2 父と子塾第三期 3 ひな祭り会
◆留意点・その他
・第3期第4回父と子塾(3/14(土)5:40~6:25)のメニューは次のとおり。
1.あいさつと「幸せになる5つの約束」を言う。
2.1ヶ月のグッド&ニュー…クニコは今回、①新体操発表会 ②友達とジャスコに行ってショッピングしたりガストで食事をしたりしたこと をあげた。
3.学習の進度・お手伝いなどチェック
ベネッセは3月分終了。お手伝いのトイレ掃除が今日はまだ。
4.読んだ本の紹介…読んだ本の内容についてクニコに聞いてみた
『社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』
5.メインの学習「あーちゃん、よろこばせ作戦!」(本文のとおり)
6.今後の予定など
・ご飯作り何をするか…目玉ハンバーグとサラダとスープを作る
・おこずかいはどうするか
であった。
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