嫁と姑の問題 その7 第909号ー嫁と姑の問題から親孝行の問題へー [K2 親孝行]
◆リード:嫁と姑の問題は、嫁と姑が同居している、ほとんどの家庭で直面している問題であろう。わが家の場合、1階と2階で棲み分けを基本線としながら、妻にはある意味期待せず、私自身が率先して実母を守り大切にすることに決めた。そのスタンスからは、嫁と姑の問題は、親孝行の問題となった。
2012.8.8 嫁と姑の問題 その7 第909号
ー嫁と姑の問題から親孝行の問題へー
近況:今日は、アキコの誕生日。私と妻は、特別支援教育の研修会に参加するので、夕方からの誕生日会である。アキコも、とうとう14歳。私にとって、いまだに目に入れても痛くない、かわいい娘である。
いつものように、誕生日会には、実母、義母、義兄を招待している。
今回は、アキコのロシア訪問の報告会を兼ねている。私自身も楽しみである。
【新たな問題】
親孝行をしようと、紅葉の時期の京都旅行を計画した私と妻に対して、
実母「(そんな単発の)旅行より普段の居心地がいい方がずっとよい。」
と答えた。
私は、はじめこそ、「親孝行したいというこっちの気持ちも知らないで(旅行を断って)。」と思っていた。
しかし、よくよく考えてみると、実母の言っている「旅行より普段の居心地がいい方がよい。」というのが正しい気がしてきた。つまり、単発で旅行に連れて行き、その時だけ楽しい雰囲気で、さも親孝行をしたという気になるのは、子どもである私の自己満足であること。そうではなくて、普段の居心地ーあったかい家族に囲まれて疎外感がないことーこそが、実母が本当に求めていることであり、そのような状況を作り出すことこそが、本当の親孝行であると。(以上、前号より引用)
<普段の居心地のよさをこそ大切にしていこう>と決意を新たにした私であった。
そうして、私自身が率先して実母に話しかけ、手伝いをし、愚痴を聞いたりしている中で、実母の気になる生活が見えてきた。
■実母の気になる生活
78歳にして、書道教室を開き、教えている実母。自動車も運転し、未だに元気。自分で炊事・洗濯をしている。
しかし、である。老化は少しずつ訪れていた。それに、友人も年をとってしまって、遊びに来ることも、少なくなってしまっていた。
実母「最近、物忘れがひどくて、すぐに忘れてしまうんだわ。」
「何でも、時間がかかってしまって。(若いときはさっとできたのに)」
「目がよく見えないて。(こう言いながら、目薬をさす)」
「あー、話相手がいなくて、これではぼけてしまう。」
「(一人で自分の食事だけ作って食べるのは)全く張り合いがない。」
実母によれば、幼なじみで親友のTさんは、自転車に乗れなくなって、わが家に遊びに来る回数が減った。親友のWさん、Kさんも、同様であると言う。
1階と2階で棲み分けを始めた当初から、6年以上経ち、状況は変わっていたのである。
「友達に任せておけばよく、お互いに干渉しない形がよい。」とはいかなくなってきていた。
それ以上に私が危機感を抱いたのが、実母の食事である。Yメーカーの菓子パンがお気に入りであったり、セブンイレブンのおにぎりがいつもテーブルの上に載っていたり、野菜があまりなかったり……。以前にはほとんど見られない光景だった。
私「菓子パンなんか、保存料がたくさん入っているし、よくないよ。」
「野菜がもう少しあった方がいいよ。」
実母「(一人分だけ用意するのが)めんどうになってきたんだて。それに、(一人分だけ)作っても、結局残って捨ててしまうんだて。」
きわめつけは、生野菜を電子レンジでチンして食べていた光景である。
私「お母さん、どうして電子レンジで生野菜をチンして食べるの。」
実母「電子レンジでチンすると、小さくなってたくさん食べられるんだよ。」
私「それでは、生野菜の酵素が破壊されて、野菜を食べる価値が半減してしまうよ。」
実母「いいんだて。」
このような実母の食生活や、友達との関係を見るにつけて、
「このままでは本当に実母はおかしくなってしまう。」
私は、大きな危機感を抱いた。
【妻の説得】
私「あの食事をこのままにしていては、本当に実母は本当におかしくなってしまう。」
「それに、友達が余り来なくなってきた現状では、もっともっと家庭内での会話が必要だな。」
「週1回土曜日だけ家族5人で食べている今の形を、ウイークディもいっしょに食べるようにする必要があるな。そうすれば、栄養のある食生活になるし、そこで会話もできる。」
「一人さびしくテレビを見ながら夕食を食べている現状を変えなければいけない。」
こう考えた。
■妻を説得
まず、妻を説得にかかった。
私「1階と2階に棲み分けて、6年以上も経つんだよ。母も年をとったんだよ。菓子パンやセブンイレブンのおにぎりばかりで、野菜が摂られていない。このままだと、病気になってしまう。それに、親友のTさんも、Wさんも、年をとって自転車で遊びに来ることができなくなっているんだよ。だから、会話も減っているんだよ。このままだと本当にぼけてしまうよ。ウイークディ(とりあえず月・水)もいっしょに食べるようにしようよ。」
私の真剣な説得が功を奏して(そして、これまで妻や子ども、義母・義兄を大切にしてきたのが、よかったのだと思うが)、妻は同意してくれた。
妻は、<実母には友達がいるし、私やアキコ、クニコがいるから、会話は大丈夫>と考えていたようだったし、<食事も一人で実母がまだまだ作れるし、それがかえってぼけ防止になる>ぐらいに考えていた。
しかし、私の話を聞いて、その辺りの認識を改めたようだ。
妻「私のお母さんも、(年の割には元気だけど)やっぱり年をとったのよ。」
妻も、毎週1回は実母の家(わが家から車で5分)に行き、いっしょに買い物をしてあげているのだった。
妻の母は、80歳。お互いの親は年をとってしまったのだ。妻は妻で親孝行をしていたのだ。(もちろん、気づいてはいた。)
お互いの親を大切にするということ。これは、結婚の際に、二人で決めた「5つの約束」の一つである。
実母を大切にする一方、私は義母も大切にしなければならない。親孝行をしている妻を支える必要があるのだ。
嫁と姑の問題は、私自身が実母をどれだけ大切にするかという、私自身の親孝行の問題となった。そのために、妻やアキコ、クニコの協力を引き出し、実母を含めたあったかい家族を創り出すということであった。
妻の理解と説得はできた。問題は、実母の説得である。(続く)
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