第43号 お手伝いをする子に育てる [B4 手伝い・作業・飼育・栽培]
2005.7.5(火)お手伝いをする子に育てる 第43号
7月3日 日曜日、普段より遅めの朝食時の出来事である。
父である私は、
「アキコ(長女、小1)、箸置きお願いね。」
と言った。(昨年8月の家族会議以来、お願いしているお手伝い)
アキコは、喜怒哀楽がすぐに顔に出るのだが、嫌々という顔をしながら、上野動物園のナマケモノのようにゆったりと箸置きの仕事をしようとしていた。「何でこんなことやんなきゃいけないの。やりたくねー。」と(口には出さないが)体全体で表現していた。
妻「そんなに嫌ならやらなくっていいよ。見ている方が嫌になる。」
私「どうせやるなら、気持ちよくもう少しシャキッとしてやってくれないかな。」
アキコは、叱られて凍ってしまったのか黙って動かない。
実母「(今までそんな場面を何度も目にしていたので)やりたくないようなら、この仕事はクニコにやってもらって、別の仕事をやるかね。」
私「だめだって、この仕事はアキコに決めたんだから。変えるのは仕事じゃなくて、嫌々やろうとするアキコの心の方だ!」と余りないことだが一喝し、
(これって、もしかして実母も一喝したか!?)
「シャキッとしてやりなさい。」と強く言った。
ここに至って、アキコは上野動物園のナマケモノを止め、普通にというか手早く箸置きを用意し、無事「いただきます。」となった。
この日は、生け垣のツゲの木を剪定するなど、多くの庭仕事があった。(植木屋さんに外注するほど経済的に豊かでない。)
そして、日曜日の夕食の時間、同じように「アキコ、箸置きお願いね。」と言われたアキコ。今度は、嫌なそぶりも見せず、きちんと箸置きを並べていた。
私も妻も「ありがとう。」と言った。
このお手伝いをさせようと決心してからその習慣が確立するまで、1年近くを要した。
そもそも去年8月の家族会議で「どんな子供の育てたいか」をめぐっての話合いの中で「めざす子供 八 力を合わせる力」が決まり、その方法としてお手伝いをさせるということになった。
(→家族専科の「育児のビジョンをつくる」http://www016.upp.so-net.ne.jp/kazoku/kazokua3.ht)
話合いでは、家族の一員として自分がやれる貢献をする中で、社会性・協調性を育むことが大切だと意見が一致した。小学校へ入学する当たって(将来仕事に就くにも)不可欠だと考えた。グループで学習するのに人任せで自分は何もしなかったり、みんなで清掃活動をしたりする際に自分ばかり何もしないで平気だったりするようでは困ると、正直思った。
また、毎日仕事を継続しやり通す中で、段取り力や自信も生まれると考えた。
そして、何よりも助け合い支え合うのが家族だという信念があった。それぞれが家族の一員としてできる貢献をすること、分かち合うこと。これができなければ家族ではないと思った(ている)。「私作る人。ぼく食べる人」ではいけないと思った(ている)。(作れ(ら)なきゃ、箸置きなどやれる別のことで貢献しようということ。)これは、能力の問題ではなくて、家族とは何かという信念・価値観の問題である。
さて、毎日やれる仕事で、発達段階から言ってできそうな仕事は何かと考えた時、選ばれたのが箸置きである。アキコも「それでいい。」というので、それに決まった。
ところが、これができたりできなかったりだった。箸置きがなくても食べられるということもあった。箸置きに時間がかかり、お腹がすいていることもあり、どうでもいい思えることもあった。アキコのゆったりペースを見て、こちらが先に準備することもあった。アキコにはしを置かせる、自分たちで置くあるいは用意しないの間をずっと揺れていたと思う。
この6月、岡田多母さんの講演テープを聴いたら、食事ではよく噛むことがとても大事であること。そのために箸置きがあり、はしを置いてよく噛むことを推奨していた。
そして、箸置きはやっぱり大事だと思い直して、必ず箸置きを置くことになった。それ以来ほぼ忘れずに「箸置きね。」と言っていた。つまり、はしを置く・置かないの間で揺れなくなった。
お手伝いというか仕事は、子供を成長させるという意図以外に、それ自体やる意味のあることでなければならないことを学んだ。
5日夕食。アキコはさらりと動いていた。そして、今日の夜も。ここまで長くかかったが、嬉しい結末である。
親の願いや信念、決意がまず先にあり、そのうえでやれそうでそれ自体に意味(価値)のある仕事を任せるならば、子供は必ずお手伝いをきとんとやるようになると確信した。
前号でブログ記事50号を突破したと報告した。翌朝、この51号をアップする前に、総アクセス1000回を突破した。「読んでくださっているんだなあ。」と嬉しくなった。ありがとうございます。
ここの7月6日早朝までの人気ベストスリーは、
1位「7.2 19才の長男を亡くした父親(同級生)の通夜に出て思ったこと」44アクセス
2位「6.22担任の教え方に不満をもつ実母の報告を聞いて……」38アクセス
3位「7.1夫婦協力して子供を叱る」32アクセス でした。
ちなみにワーストワンは、
「5/28図書館通いは知的で実利のある習慣である」
で、唯一のアクセス0である。
このタイトルの通りだと、私は思っていて、余程忙しいときでも娘への読み聞かせはまず欠かしたことがないのだが……。タイトルが月並み過ぎたのだろうか。
家族専科http://www016.upp.so-net.ne.jp/kazoku/へ
※ おかげさまで、総アクセスが8千を超えた。ありがとうございます。(8/25)
実は、夏休みのめあての一つが(~8/31)
「記事100! 総アクセス1万! NICE100!」
である。
「記事100! 総アクセス1万!」は、射程に入った。しかし、「NICE100!」には黄色(赤?)信号がともっている。
私は、どの記事も心を込めて、本当のことを書いている。そして、読んだ人が温かい気持ちになったり、ちょっぴりでも「参考になったな」と思ってもらえたりすることを願って書いている。
幸いコメントには、「参考になりました。」とか「何かあったかい気持ちになりました。」とか書いてあったりして、うれしい。
そんな時、NICEを押してくれたらありがたい。コメントなしでNICEだけというのも、今まで3名あったけど、それでもありがたい。
貴方の記事を今日見始めたばかりなのですが、とても家族の関係が良いことが記事から感じられました。そして記事も「もっと読んでみたい」という意欲が沸く、良い書き方だと思いました。
学ばされることもたくさんあり、これからも貴方の記事を読ませてもらおうと思いました。
by 闇を操る妖怪ルーミア (2016-08-08 15:55)
コメントありがとうございます。
返信が全く遅くなり申し訳ありません。
コメントが遅くなったのは、たった今、コメントの存在に気づいたからです。
子育てに真摯な親御さんのために役立つような書き方を心がけてきました。お褒めいただきありがとうございます。
by ファーザー (2017-01-19 17:17)