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子どもを叱らないですむ方法 その2 第905号 [J3 叱る・不満を伝える]

◆リード:子どもに成功経験を持たせて、ほめて、自信を持たせる。これは、教育の要諦である。成功経験をもたせるにはどうしたらよいか。一言で言えば、「子どもを(成功)できる状態に置く」ことである。がしかし、子どもが失敗し、叱りたくなることもある。

2012.7.20 子どもを叱らないですむ方法 その2 第905号

ーできる状態に置かずに失敗した場合、子どもを責めることはできないー

近況1週間前の7月30日(月)、アキコ(中2)は、ロシアに向けて出発した。
 前日の日曜日の父と子塾では、アキコは、「日本の神話」を学んだり、折り紙でカブトを作る方法を学んだりした。
 20年以上も前にある本で、チェコに行ったある人が、「折り紙で鶴を折って見せたら、チェコの人たちが1枚の折り紙が鶴に変わっていく様子を見て、まるでマジックを見ているようで驚いていた」というようなことを書いていた。
 「折り紙でカブトを折って見せたら、ロシアの子どもたちはびっくりすると同時に、出来上がったカブトをもらって喜ぶのではないか」と思った私は、アキコにこのことを話し、カブトの作り方を教えたのである。アキコは、すぐにカブトの作り方を覚えた。

 合わせて、私は生味噌の味噌汁の素を1週間分持たせた。私がかつてインドを旅行していたとき、向こうの寺のような所で修業していた日本人に、生味噌の味噌汁の素をあげたら、「これが一番うれしいんだ。」と言って、喜んで受け取っていたことを思い出したから。ロシア料理に飽きて(参って)しまったとき、一杯の味噌汁が元気を取り戻すきっかけになってくれるかもしれないと思ったから。
 アキコは、もう日本(成田)に着いている。あと、数時間後には、1週間ぶりにアキコに会える。


【感想発表の指導の失敗】

 交流学習で、近隣の4つの学校が集まり、恒例の○○祭りをしていた。(7/11)
 当校は「ボーリング屋さん」を開き、A校は「うかぶやさん」(水風船、スーパーボール、折り紙などを浮かべ、それをスプーンや釣り竿ですくう)、B校は「書いて楽しいアクセサリー屋さん」(プラスチック板に好きな絵や模様を描いて、オーブンで焼く)、C校は「ゼリー店パピオ」(クジを引いて、パイン、ピーチ、オレンジのいずれかのゼリーを食べる)をそれぞれ開いた。
 お客さんが回って来るのに対応したり、逆にお客さんになって子どもが回るのをサポートしたりと、私(たち)は閉会式直前までばたばたしていた。

 閉会式が始まって、感想発表を各校一人(当校は事前にC子に決めていた)ずつ行うことを思い出した。

私(まずい、感想をまとめさせていない!今からじゃあ、そんな時間もない。)「D子さん、代表して、今日のお祭りに参加した感想を発表するんだったね。たとえば、<パインゼリーがおいしかったです>とか<うかぶやさんでスーパーボールをすくったのが楽しかったです>みたいに、楽しかったことを言えばいいんだよ。」

 このように話した。毎日日記を書いているD子さんの作文力からすると、これだけでも感想発表は大丈夫かもしれないと思う一方、一抹の不安を感じていた。
 約3分後、いよいよ各校の感想発表である。

D子「ボーリングゲームが楽しかったです。ボールを1回投げて4本倒して、2回目で残りの3本を倒して、銅メダルをもらいました。」

 何と、自分のお店のことだけをほめているのである。ここは、当然、他のお店のことをほめなければいけない場面なのにである。私は、「しまった!」と思うと同時に、とても恥ずかしく思った。D子の失敗は、すなわち指導者である私の失敗だからである。

 がしかし、D子を叱ることは、決して許されないと判断していた。なぜなら、D子は気持ち「感想」を言ったのであり(D子は役割をきちんと果たしていると考えている)、こういう場合は、自分のお店をほめるのではなく、相手のお店をほめるということがわかっていなかったからである。そして、「こういう場合は、自分のお店をほめるのではなく、相手のお店をほめる」ということは、私が事前に指導すべきことだったからである。たとえば、「ボーリング屋さんが楽しかったんだね。他の学校のお店で楽しかったのは何かな。(D子が答える。)それを言うと、他の学校のみんなも喜ぶと思うよ。自分の学校のことは、後でも言えるから、今は他の学校のお店のよかったことを言おうね。」というように。 

 その場では私は、叱ること(「あのね、こういう場合は、相手のお店のことをほめるの!」)はしなかったものの、ほめることもなかった。帰校後、感想を言えたことをほめた。

 この場合は、D子に感想を言わせて、それを私が口頭で添削し、そのうえで全体の前で感想発表をさせればよかったのである。そうすれば、D子は、「うかぶやさんで、スーパーボールをすくったのが楽しかったです。」のような感想発表が間違いなくできたはずである。私は、至らなかった自分の指導を深く反省した。


【少林寺拳法の懇親会での感謝の言葉】

 さて、7月20日(金)夜は、アキコの通っている少林寺拳法の指導者、拳士とその保護者による懇親会があった。
 私は司会であったのだが、最後に指導者の3名に子どもたち代表3名が、感謝の言葉を一言添えて、プレゼントを渡す場面があった。
 懇親会の実行委員に聞くと、誰が誰に感謝の言葉とプレゼントを渡すのかだけ決まっていると言う。私は、前回の失敗を犯さないように、代表の3名の子どもを事前に呼んだ。

私「A先生には、Dさんが感謝の言葉を言って、プレゼントを渡すんだよね。B先生には、Eさんが感謝の言葉を言って、プレゼントを渡すんだよね。C先生には、Fさんが感謝の言葉を言って、プレゼントを渡すんだよね。」

 こう言って、それぞれどの先生に感謝の言葉を言うか確認した。
 さらに、プレゼントを渡すときに、はっきりと伝わる声で感謝の言葉を言うように話し、一人ずつ何と言うか聞いた。

A男「いつもありがとうございます。」

私「何についてありがとうと思っているか分かるといいね。たとえば、<いつも厳しくかつやさしく教えてくださって、ありがとうございます>とかさ。」

B子「ていねいに教えてくれて、ありがとうございました。」

私「うーん、<ていねいに教えてくださって>というように、敬語を使うといいね。」

C男「ていねいに分かるように教えてくださって、ありがとうございます。」

私「それでいいね!」(3人目だから、前の二人の様子を見ていたわけで一発合格)

 この後、3人はそれぞれ3人の先生にプレゼントを渡し、感謝の言葉を伝えた(3人同時に)。うまく言えた。

 おそらく私が事前に確認しなければ、プレゼントを渡すだけだったかも知れないし、敬語を使えなかった可能性がある。
 
 そもそも教えないでおいて、「そういう場合は敬語を使うの!」と後になって叱ることはうまくない。
 事前にきちんと教えておいて(できる状態に置いて)、成功経験をもたせる。これが原則だ。
 
 教えたつもりではいけないのであって、教えたことが伝わったか、うまくできるかどうかまで確認し、必要ならまた教えること。そこまでするかどうかが、うまくいってほめられるか、失敗して叱られるかの境目である。
 それは、子どもが教える側を信頼するようになるか、ならないかの境目でもある。

 しかるに、そもそも教える側の準備不足、手抜き、指導力不足etc.のせいで、子どもが失敗しているのに、叱られるのは教える側ではなくて子どもというケースが何と多いことか。

◆キーワード:1 子どもをできる状態に置く  2 子育ての原則  3 ほめる

◆留意点・その他


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