子供たちに生きる知恵を授ける民話 156号 [C1 読書]
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2006.2.23 子供たちに生きる知恵を授ける民話 156号
ー今月子供に受けた本『ふるさとの民話全30巻』改訂版ー
『ふるさとの民話全30巻』(世界文化社 各巻880円)
北海道から沖縄まで、日本全国の民話を網羅してあります。各巻2話ずつ収録されていますから、全30巻で60話の民話があることになります。
各巻ごとに付録としてCDが付いてきて、収録されている2話について一流の人が朗読した声が録音されています。例えば、第一巻は、中部地方一『ゆきむすめ・かさじぞう』でCD収録の朗読は、壇ふみさんですね。
私は、職場でこの民話シリーズを見つけて、全部読みました。初めて知った民話もかなりありました。少し恐い話、悲しい話、思わず笑ってしまう話などいろいろでした。民話の場合、すばらしいことに、ただ恐い、悲しい、面白いで終わらないで、ちょっぴり考えさせられ、教訓めいたことを教えてくれるのですね。その辺りが、心や頭の成長につながっていくと考えています。
全部買わなくても、面白そうなもの、気に入ったものだけにしぼって購入するのもいいでしょう。我が家では、私が読んで面白かったものをチョイスして購入しました。
基本的にはCDに頼らず、自分で子供たちに読み聞かせました。
でも、「どれが良かったの?」と言われそうですね。いくつか紹介します。
妻曰く:『ならなしとり』(5巻)を一番読んであげたと思うけど。
長女アキコ7歳曰く:『はいぼうたろう』(23巻)がよかったよ。
次女クニコ3歳曰く:『しっぽのつり』(11巻)が面白かった。
私ファーザー曰く:『うたうされこうべ』(26巻)は恐かった!
【改訂版】
なぜ民話を読み聞かせるか。
第一に、面白いからである。先月紹介した落語絵本もそうであるが、親子で「あはは……」あるいは「クスリ」と笑い合えるような時間、興味津々で知的好奇心に輝く、我が子の瞳を受けながらの読み聞かせの時間は、私にとって心地よいひとときである。
民話の場合、長い期間を生き抜いてきているだけ合って、話の筋がしっかりしており、その面白さも洗練されている。
今回紹介した民話シリーズは、本文がしっかりしており(へんな改作がない)、挿絵も良質で、安心して読み聞かせることができる。
第二に、そこに生きる知恵などが染み込んでいるからである。
一つ一つの民話には一つの世界があり、メッセージがある。(と思う。)たとえば、次女クニコが好きな『しっぽのつり』。二人の娘は、「きつねは、かわうそに意地悪をしたから仕返しをされた。」(意地悪とすると仕返しをされる→意地悪をするのはよくない)と読んだ。
後ろの作品解説を読むと、釣りなどしたこともないもの(門外漢)が釣りに手を出す(よく知りもしないことに手を出す)ことを戒めたものであろうというようなことが、紹介されている。
私など、「アドバイスの真偽をよく確かめもせず、真に受けて実行すると大変な目にあう。」と読むこともできる。
つまり、一つ一つの民話からどんな生きる知恵というか教訓を引き出すかは、読者にゆだねられている部分がかなり強い。
そのファジーなところが逆にいいのではないだろうか。その時、その時の読者のレベルに応じて知恵を授けてくれるのだから。よく言えば、奥行きがあるということだ。
長女アキコが何回も読んでとせがんだ『はいぼうたろう』。母が死に新しいかかさんが来て、実の父も死ぬ。そこから始まる苦境にめげず、精一杯働き、よい伴侶に恵まれ、最後には富を得たという一生を描いている。
アキコは、そこから、「つらいときがあっても、がんばっていれば、しまいには幸せになる」という価値観を得たかもしれない。
これなど、生きる知恵というより、生きるうえでの信念・価値観であろう。
長い期間を生き抜いてきた民話には(民話に限らないであろうが)、生きる知恵が染み込んでおり、生きていく信念・価値観にまで影響を与える可能性が確かにある。
よき民話を与え、心も頭も豊かにしたいものだ。
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