塾に通いたいというわが子への対応 第1021号 [C2 学習]
◆リード:高校での学習と通信教育だけでは限界を感じたアキコは、自分からある塾の夏期講習に参加することにした。その結果、9月からもずっとその塾に通いたいと、アキコは希望した。塾代月2万円の出費は大きい。親の私としては、「勉強のためならいくらかかってもすぐにOKしてもらえる」という構えでアキコにいてもらっても困る。その辺りのことも、アキコにしっかりと自覚させたい。さて、どうしたものか!?
平成26年8月28日(木)
塾に通いたいというわが子への対応 第1021号
近況:
29日(金)は月1回の妻との外食デートの日。7月の時のように、いっしょに飲むこともできる店に行きたかったが、妻の希望でラーメン屋になった。それでも、ラーメンを食べながら子育てのことを中心にいろいろと会話ができ、有意義であった。
月1回の外食デートはもう何年も続いているが、このデートを通して私の知らない子どもの様子を聞くこともでき、子育て情報収集の貴重な機会にもなっている。
翌30日(土)は、朝の10時から午後3時まで妻と二人で自宅から2kmほど離れた所有地に防草シートを敷いたり、シルバー人材センターの人に頼んで抜いてもらった雑草を片づけたりした。
今まで草取りなど、実母がすることが多かったのであるが、年をとってそれも叶わなくなってきた。この夏は、シルバー人材センターの人に草取りを頼んだ。2名で草取りをしてもらって1万円であった。
今後も私や妻が草取りをするのもなかなかむずかしいので、防草シートを敷くことにしたわけである。草取りをした後の今がチャンスということで、二人でがんばった。梅の木や柿の木のある辺りや草花のある辺りを除いた部分を中心に敷いたのだが、防草シートやそれを止める金具などの費用は約2万円であった。暑い中、二人で協力して作業を進めた。
【通信教育だけでは限界を感じたアキコ】
アキコは、第一希望の高校に推薦で無事合格したものの、初めての中間試験で40点台1枚、50点台を1枚とった(英語など90点台もあったが)。数学がよくわからないという。授業では家で解いてきた問題の丸ツケをするらしいのだが、教師の説明がよくわからないというのだ。
アキコには、「お父さんも高1初めての試験の数学で、一生懸命勉強していたのに56点を取り、ショックだった。」という経験を話して、そのときはなぐさめておいた。
中学時代数学の模擬試験で50点満点をとったことのあるアキコにして、「よくわからない」というのは一体どういう教え方をしている!?と正直思った。よくわからないのは、アキコだけではないらしいが、さすがに高校の数学となると親が教えるのはむずかしい。
知人をたよって家庭教師も考えてみたが、よい人が見つからない。
それでも、期末試験はがんばった成果がある程度出た(別に中間試験もがんばってはいたのだが)。
【塾に通うことを希望したアキコ】
問題は今後である。通信教育だけに限界を感じたアキコは、試しに塾の夏期講習に参加することを希望した。
アキコはこれまで学習塾に通ったことは一度もなく、それでも中学卒業まで好成績を維持してきた。親としては、アキコが希望するのはよほどのことと考えて、それを許すことにした。
夏休みに実際にある塾の夏期講習に参加してみて、アキコは手応えを感じたようだった。
【イケていないプレゼン】
8月の20日頃夜、廊下でアキコが私と妻に向けて次のように話した。
○(その学習塾は高校のすぐ近くにある)9月から塾に行きたい。高校の図書館だと、先輩が使っていたり、時間制限もあったりして思うように使えないけれど、塾だと電車時間に合わせて自由に使えて都合がよいから。
私は、アキコが本当に塾で勉強したいなら許可しようと考えてはいるが、このような言い方・理由ではとても許可できないと思った。
理由は、図書館替わりに都合がよいというレベルでは、万単位のお金を使う価値がないと思うから。それなら、早く帰ってきて自宅でやればよい。それに、廊下の立ち話では真剣さが足りない。それに肝心の費用もわからないのだ。
こんなレベルのプレゼンで許可をもらえるという教育をしてはいけないと強く思い、翌日アキコにこう言った。
私「アキコ、昨日廊下で9月から塾に行きたいと言っていたけど、図書館替わりになるぐらいのレベルで何万も払えるほど、わが家に余裕はないんだよ。そもそもいくらかかるんだ。もっとちゃんとした理由とかかるお金を説明しないと許可は出せないぞ!」
脇で聞いていた妻はあとで、
妻「あの言い方では、アキコはもう塾に行きたいとは言わないと思う。」
こう言った。
私「あんな廊下で言うくらいで、許可は出せるか。きちんと言わせることも大切な勉強だろ。 (ボクの言い方を批判しているが)じゃあ、どう言えばいいんだ。」
私は、こう反論しておいた。
【アキコの再プレゼン】
4,5日たった28日夜、アキコが私の書斎に来て、次のように話した。
■アキコの再プレゼン
9月から塾に通いたいこと。
理由は、塾の学習室で学ぶと、(図書館と違って)先生がいること。疑問なところを自由に質問でき、ていねいに答えてくれること。部活があまり遅くならないアキコ(アキコは書道部に入った)は、早い時間帯から学習室に入ることができ、その時間帯はほぼ先生を独占でき、思うように質問できること。授業DVDもあって、それを視聴したところ、情報量がありとてもいいこと。
学習室での学びは、月14,800円かかること。授業DVDの利用は、月4,800円かかること。
その代わりに(お金のかかる)私立大学には行かずに、国立大学に行くようにがんばるから、塾へ行くことを許可してほしい。
はじめのプレゼントとは見違えるくらいによくなった。
私「そうか、合計月約2万円だな。(間)アキコはどうしてもそこで学びたいんだね。(間)それなら何とかするか。おい、タカちゃん、約2万円するんだけど、大丈夫かな。」
妻「うーん、2万円は大きいけど。」
私「よし、アキコ、その代わりがんばるんだよ。」
妻「節約できるところは、もっと節約しなきゃね。」
かくてアキコの塾通いが許可となった。
その後、妻にこう話した。
私「やっぱり、もう一度言わせてよかっただろ。」
妻「そうね。」
「勉強のことなら、親はすぐにOKしてくれる。」どころか、「OKしてくれて当たり前。」というように思われては困る。収入は限られているのだ。
それに、将来仕事に就いたときも、自分の希望を叶えるために協力や許可を得たい場合、なんとか相手を説得できるようにプレゼンする力を育てていくことも大事な教育である。
だから、あえてそのプレゼンではダメ、もう一度言い直させたことは、やっぱりよかったと思う。アキコは、理由をきちんと言ったし、費用も自分で調べた。おかげでアキコ自身が、「大事なお金を使わせているのだから国立大をめざそう」という決意もできた。
これが前記事で紹介した子どものコミュニケーション能力を高めるための対策「①子ども自らがコミュニケーションしたくなる、しなくてはならない状況を作り出すこと」であろう。
◆キーワード:1 プレゼン 2 学習塾 3 成績
◆留意点・その他
・7月、高1アキコの1学期の成績通知表をおそるおそる見た。
私「成績がよかろうと悪かろうと、アキコはいい子だし、お父さんは大好きだよ。」
こういって通知表を見てみた。7クラスある学年の中で41番だった。
私「あれ、いいじゃない。がんばったね。数学もよくできるようになっているじゃないか!」
アキコは、ほぼ毎日が試験勉強モード状態なのは、中学生までとかわらない。朝4時起きでがんばっている。アキコによれば、「S高生はそんなに勉強していない。」そうだ。いつのまにか、アキコはじりじりと成績を上げていた。
学力を高める秘訣(方法) 第874号ー期末テスト学年1位をとったアキコの事例からー
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