お小遣いが足りない!? 第614号ーピンチは絶好の指導の機会ー [G 金銭教育]
◆リード:アキコは、入ってくるはずの祖母からのお小遣いがなく、残金が1,200円しかなくなった。間近に控えた佐渡旅行では、友達11人分のおみやげを買ってこなくてならない。困っているアキコに、親としてどうかかわっていけばいいか!?
2009.8.13 お小遣いが足りない!? 第614号
ーピンチは絶好の指導の機会ー
夕食後、みんなでスイカを食べていると、アキコが困ったように切り出した。
アキコ「もうすぐ佐渡旅行なのに、お小遣いがあんまり残っていない。」
私「いくら残ってるんだ。」
アキコ「1,200円。11人の友達におみやげ買っていかないといけないの。」
私「11人もやらなきゃダメなのか。」
アキコ「だって、先におみやげもらっているもん。」
妻「予め分かっていたことでしょう。アキコのお小遣い月1,000円は多い方なのよ。お友達は大体500円でしょう。」
アキコ(……)
私「200円は貯金だから、800円だよ。それに文房具代もお小遣いに入ってるんだから…。」
妻「文房具代はそんなにかからないのよ。」
妻「おばあちゃんから旅のお金をもらっても(餞別)、アキコにはあげないわよ。」
お小遣い制にする際、「途中で足りなくなってもあげない。だから計画的に使うこと」という約束を徹底して守る妻であった。
アキコを弁護するならば、<誕生日プレゼントに予想以上にお金がかかって、祖母からの誕生日お小遣いも、妻からすべて取り上げられた(お小遣いルールでは2,500円はアキコに残るはずであった)>という想定外の事態が生じていた。
ただし、余裕をもってお金を貯めてこなかったアキコの責任はある。
【アキコにアドバイス】
教師の私は、「お金について学ばせる、これはいい指導のチャンスだ。簡単におみやげ代を出してあげるなんて言ってはダメだな。」と内心思った。
そこで、二人っきりになったところで、次のように話した。
私「アキコ、こうなったら、三つしか方法はないだろ。一つは、切り詰めてお金を使うこと。」
アキコ「明日のお祭り、ジュースを自販機で買おうと思っていたけど、家からお茶を持って行くことにする。」
私「なるほど、それはいいね。 一つは、プレゼントを工夫すること。お菓子がたくさん入っているやつを買って、それを一つ一つきれいに包装し直してプレゼントにするとか。拾った貝殻を入れるとか。写真を絵はがきみたいにしてあげるとか…。」
アキコ「そうだ。朱鷺の写真を使う。」
私「それもいいかも。 あと一つは、お金を手に入れることだな。あーちゃん(実母)に『習字の子におみやげを買ってきたい』からと言えば、お小遣いをくれると思うよ。」
アキコ(少しにこっとする。)
【救いの1,000円】
ほどなく、アキコは階下のあーちゃんに呼ばれた。
少しして、アキコはにこにこして戻ってきた。
アキコ「あーちゃんがお盆小遣いだって、1,000円くれたよ!」
どうやら、アキコが頼む前に、あーちゃんが1,000円くれたらしい。
私「よかったね。でも、さらにおみやげ代ちょうだいなんて言ってはダメだよ。」
妻「『1,200円で11人分のおみやげじゃ、一人100円ね』って、さっき言ってたんだよね。今度は、一人200円ね。瞬間の困り感だったわね。」
妻は、こう言って、クニコの髪の毛を乾かしに別室へ行った。
【旅行の会計役への誘い】
しかし、おみやげ11人分である。旅行から帰ってきてからも、8月の生活はある。経済的にピンチなのは、変わりない。
私「アキコ、佐渡旅行の会計係をやってくれたら、1日50円あげるよ。」
アキコ「えっ何、何! どうすればいいの?!」
私「だから、佐渡旅行でその日使ったお金を全部記録する係だよ。1日50円でも、4日あるから、50円×4日で200円もらえるよ。」
アキコ「やる! やる! これでおみやげ一人分になる!」
去年の自由研究のテーマは「東北1周旅行5W2H記」であった。(2Hの一つのHはハウマッチつまり、かかったお金の記録)そこで、やってきたことを、今年もやらせたいと考えていたので、上のような提案となった。
あの会計の大変さは、アキコは知っているはずなのに、おみやげを買うお金ほしさにやる気満々であった。
私「あと、8月の最後の土曜日か日曜日に車を洗ってもらおうかな。洗ってくれたら、50円あげようかな。」
アキコ「100円じゃなかったの。」
私「うーん、お母さんの車も洗ったら100円にしようかな。」
アキコ「やる!」
【足りないことが工夫を生む】
お金が足りないことも、いいことだ。足りないから何とか工夫しようとする。
いつもは自販機で買っていたジュースを止めて家からお茶を持っていくのは節約の工夫である。
おみやげ代を稼ぐために、会計係や車の掃除をするのも、私が提案したものの、一つの工夫である。きっと得ることの多い経験となるだろう。
限られたお金の中で、お友達が満足するおみやげを用意するにはどうしたらよいか、これも、アキコは工夫するだろう。
アキコは、「ねえ、砂金とりでは、たくさん砂金が取れるの?」とさかんに聞いていた。とれた砂金をおみやげにしようと考えているらしい。
最初に直観したとおり、とてもよい指導の機会になりそうである。
【関連記事】あったかい家族日記 「家族の広場」
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◆キーワード:1 おみやげの工夫 2 お小遣い制 3 夏の旅行
◆留意点・その他:
・わが家の場合、アキコは昨年からお小遣い制をとっている。詳しくは、上記をクリックしてほしい。
・8月11日の日直を最後に、私は、ようやく夏休みモードに入った。今日は、墓参りを午前中と午後行った。あと、佐渡旅行に向けた買い物など、結構忙しかった。(ブログを書くネタは山ほどあるのに、書く時間がない。)
その合間を縫って、午前中は『グレーゾーンを巻き込んで統率する教師のワザ』(神谷祐子著、特別支援教育の実践シリーズ3)を読み、午後『グレーゾーンの子を救う効果的な方法』(伊藤雅亮著)を読んだ。
特別支援についての理解なくして、通常学級の指導はできないと痛感した。多くの軽度発達障害の子が、そうした理解のない教師の指導によって、スポイルされているのではないか。
いいですねぇ。ウチはまだお金の価値がそろそろ分かり始めたころです。もう少し大きくなったらキチンとおかねの管理や使い方を教えてあげたいな。しっかりと筋道立てて教えてあげられるファーザーさんご夫妻がすごい!
by Mikey (2009-08-15 18:50)
>Mikeyさんへ
コメントありがとうございます。
お金の指導は、お金の扱いを間違えて人生を台無しにするケースもあるくらい、大切なものだと考えています。
小学校入学後でよいと思うのですが、お小遣い制で、きちんと指導されるとよいですね。その際、上記のリンク先はきっと役に立つと考えます。
by ファーザー (2009-08-16 08:30)