ホームステイで書道教室 第978号 [E5 ユニークな伝統]
◆リード:「ロシア・A市の子供たち ホストファミリー募集!!~7月12日(金)夕方から14日(日)夕方まで~」というA市交際交流協会のチラシを見たアキコは、「ホストファミリー募集に応募したい。」と言ってきた。ここからわが家のホームスティの物語が始まった。応募から終了までの顛末記その4。
書家である母がいるのに、日本の伝統文化でもある「書道教室」をしない手はない。書を初めてするベロニカ(ロシアの女子15歳)さんに、どう教えるというか、体験してもらうか。
2013.7.13(土) ホームステイで書道教室 第978号
ー2泊3日のホームステイ4ー
作品は色紙にし仕上げて、おみやげに!(名前はカタカナで!)
13日(土)の朝食後、私は書道教室の内容を構想した。いわゆる授業の構想を練ったわけである。書の技能自体は、書家の母には全くかなわないが、1時間入門的なことを教えるとなると、私の出番はある。なにせ小学校教員は、週1時間程度、書写の時間を受け持ち、3年生以上には毛筆も指導しなけらばならないからだ。
日本語は、ほぼ全くできないという(「ありがとう。」が言える程度)ベロニカ(ロシア人女子、15歳)さんだから、まず日本語には、①ローマ字 ②漢字 ③ひらがな ④カタカナ の4つのタイプの文字があること。
その上で、今日は漢字という文字を書くこと。漢字は、もともと象形文字として実際のものをかたどって(簡略化して)できたものであること。たとえば、日本の「日」は、太陽をかたどっており、「山」はやまのかたちから、「川」はかわのかたちから、それぞれできてきたこと。これらを教えた上で、まず「日」「山」「川」などの漢字を毛筆で書くというのが、私が考えた大まかかな授業構想である。
かくて、山や川、お日様のイラストなどの教材を準備し、30分余りかけた授業準備は終わった。
【書道教室1「日本語は、漢字以下4つのタイプの文字からなる】
さて、朝食後の午前10時過ぎ、実母の教室で、日本の伝統文化「書道」に触れる書道教室が始まった。
私はロシア語が全くできず、ベロニカさんも日本語が全くできないので、英語と身振り手振りでコミュニケーションをとった。
■Japanes have 4type words.
私「Japanes have 4type words.
① JAPAN = nippon it's roumazi.
② JAPAN = 日本 it's kanzi.
③ JAPAN = にっぽん it's hiragana.
④ JAPAN = ニッポン it's katakana.
JAPAN = (日本の国旗のイラスト)
」
ベロニカ「フン、フン。」(うなずく)
言葉だけでなく、プリントで合わせて提示したので、つたない発音でも通じたようだ。
【書道教室2「漢字」は象形文字であるー日、山、川etc.ー】
■「漢字」は象形文字であるー日、山、川etc.ー
私「kanzi is made from the real thing. For example,日 is made from the Sun.」
このように努めて平易な(でもあやしい)英語を使って、作っておいた教材(太陽のイラストなど)も合わせて提示した。絵やイラストは万国共通なわけで、漢字が象形文字であることは、伝わった。
同じようにして、「山」や「川」という漢字が、象形文字であることを説明した。
【書道教室3「漢字」を毛筆で書くー日、山、川、和etc.ー】
■日を書く
私「First we'll write 日(hi). That means thes sun」
こういって、「日」という漢字をまず書いた。
アキコが書いて見せ、クニコが書いて見せた。
ベロニカさんは、向かいの席に座っているクニコが「日」を書く様子を食い入るようにして見つめていた。そして、その後、自分で書いた。
さすがに、代表団に選ばれるだけあって、初めてとは思えないほどうまかった。
自然に家族5人全員から拍手がわいた。
■山、川を書く。
私「secondly we'll write 山(yama).That means moutain.」
こういって、次に「山」という漢字を書いた。
アキコが書いて見せ、クニコが書いて見せた。同じように、ベロニカさんは、向かいの席に座っているクニコが「山」を書く様子を食い入るようにして見つめていた。そして、その後、自分で書いた。やっぱりうまかった。
同じように、家族5人で拍手をした。
そして、「川」という漢字を書いた。
そう書くのか!
やってみよう!
うまくできた! 拍手!
■「和」という漢字を書く。
ここで、書家の実母が登場。「和」という漢字を書かせた。それも、金文で。私は、一般的な楷書の方がいいと主張したのだが、「ここで実母の機嫌を損ねてはいけない。」と思い直した。実母の言うとおりに「和」の金文の扱うことにして、指導は母にまかせた。そして、私は、「和」という漢字が「調和」や「平和」あるいは、「日本的な」という意味をもっていることを教えるサポート役に回った。
なお、時間が余ったので、「火」(日と同音異義語。これも教えた。)、「木」についても、象形文字であることを教えたうえで、毛筆で書いた。
【書道教室4「漢字」を色紙に清書、さらに印を彫る】
その後、実母が用意していた色紙に好きな字を清書することになった。(色紙を用意しておくとは、実母は段取りがいい。)
ベロニカさんは、「日」を選んだ。
さらに、実母は、「印を押した方がいい。」と勧めた。(さすが書家らしい実母の発想だ。)
かくて、印を作ることになり、妻とアキコ、クニコ、そしてベロニカさんは、百均へ行って、それ用の消しゴムのようなものを買ってきた。合わせて、ベロニカさんは百均でショッピングを楽しんだらしい。
かくて印を彫り、それを押して、作品が完成した。印を彫って、押すまでも加えれば、約2時間の書道教室であった。
色紙に書いた作品は、貴重なおみやげとなった。
このように、漢字の意味を教え、意味のわかった漢字を実際に毛筆で書いた。さらに、色紙に清書し、印も彫り、作品に仕上げ、それを「おみやげ」とした。これら、一連の流れは、さすがに書家と教員がタッグしただけのことはある。(自画自賛)
私たちは、お互いの強みを十分活かして、日本の伝統文化「書道」を伝えたのである。
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◆キーワード:1 ホームステイ 2 日本の伝統文化「書道」 3 国際交流
◆留意点・その他
・普通の半紙に書いた作品も、実母は特別の紙で裏打ちして(アイロンをかけてくっつけていた)作品に仕上げて、特別の額と合わせておみやげにもたせていた。実母ながらさすがである。
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