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★作文を上手に書く方法 第921号ーよいフォーマット、よい志(構え)が決め手ー [D6 親が教える・その他]

◆リード:市国際交流協会の中学生代表団の一員として、ロシアK市に1週間派遣されたアキコ(中2)は、400字詰め原稿用紙で5枚の作文を書くことが課題であった。中2のアキコにとっては結構な枚数である。さっさと終わらせて、別の課題に取り組みたいアキコ。上手な作文の書かせ方は何か?!
 

2012.8.8 作文を上手に書く方法 第921号

ーよいフォーマット、よい志(構え)が決め手ー
 
近況:9
月17日(月)ブログ約7年4ヶ月にして200万アクセスを突破しました。
読者のみなさん、本当にありがとうございました。
今後も、自らの子育て経験と合わせ、読者に役立つ記事を書き続けます。
ご愛読をお願いいたします。


【ロシア派遣後の課題作文】

 A市国際交流協会の選考にパスし、夏休み中の7月30日から8月6日までの1週間、ロシアのA市へ派遣されたアキコ(中2)が、無事帰ってきた。cf.アキコ、ロシアへ 第893号

ロシアのおみやげ.JPG

ロシアのおみやげ↑

 さすがに、8月7日は1日部活を休んだ。

 その間に、アキコは、さっそく「400字詰め原稿用紙で5枚程度の作文を書く」という課題に取り組んだ。

アキコ「ふー、できた。4時間かかった。」

 たまたまトイレに行ったところ、アキコのそんなつぶやきが聞こえた。

私「4時間かかったって、がんばったな。それに、ロシアから帰ってきてすぐに書いたところが偉い。 どれ見せてみろ。」

 アキコは、私に見られると、「もっとこうした方がいい。ああした方がいい。」とアドバイスされる(結局書き直しになる)ので、嫌そうな顔をしたが、見つかったので観念して原稿を差し出した。


【アキコの作文1作目と私の評価】

 アキコの作文のタイトルは「感謝の思いでいっぱい! ロシアの旅」であった。

■「感謝の思いでいっぱい! ロシアの旅」

 「ロシア出発の前日。私は、心がソワソワしていて、なかなか眠ることができませんでした。…<中略>…
 七月三十日、市長さんをはじめとして、市役所の方々や校長先生、そして家族、本当にたくさんの方たちが見送りに来てくださいました。…<中略>…
 七月三十一日。朝食をとった後、バスで○○へ向かいました。…<中略>…
 八月一日。午前中は、保育園や子供創作宮殿で、ロシアの子供たちとふれ合いました。…<中略>…
 八月二日。青少年センターで水上レクレーションをしました。ロシアの人たちのクロールは、日本と比べて息つぎをするタイミングが速くて、日本とロシアの文化の違いを感じました。昼食は「ブリーニ」というロシア料理を作りました。ホットケーキみたいで簡単に作れるかな、と思っていました。ですが、皮の厚さ加減が難しくて、けっこう大変でした。自分たちで作った「ブリーニ」は、やっぱり最高の味でした。
 そして夕方に、保養所「シャルゴーリ」に行きました。夕食を食べたら、みんなで外に出て、ひたすら踊りました。最初は恥ずかしがっていた私ですが、だんだんと慣れてきて、何の抵抗もなく踊っていました。ロシアのダンスは、独特の振り付けで、日本ではやったことがないような身振りをたくさんしました。ついていくのが大変でしたが、とても楽しかったです。
 八月三日。…<後略>…

■私の評価(アドバイス)
私「アキコ、この作文のフォーマット(形式)は、○月□日~という形で、日付順にやったこととアキコの感想が書かれている形だけど、これではアキコらしさ・個性があまりでないぞ。○月□日にしたことは、みんな共通のことだろ。誰が書いてもほとんど同じ内容だ。その後の、アキコらしい感想が大事なんだ。このフォーマットで書く限り、誰が書いても8割がた同じ内容になると思う。」

アキコ「去年の作文集を参考にしたの。」

私「その参考(モデル・お手本)にした作文がよくないんだよ。」

アキコ「また書き直し!この作文を書くのに4時間もかかったんだよ。」

私「アキコ、ただでロシアへ1週間も行ってきたんだろ。選考の作文には、<ロシア行きの夢が実現したら、ロシアの暮らしを心と体で体験して、それをみんなに伝えます>と書いたじゃないか。そのことを本当にしなきゃだめなんだよ。今の作文では、アキコの心と体で感じたことが十分に伝わってこないんだよ。やっつけ仕事じゃだめなんだ!参加した12名中で1番の作文を書くという構えじゃないとよい作文は書けないぞ!」

アキコ(黙っている)

私「そもそもタイトル(感謝の思いでいっぱい! ロシアの旅)からしてよくない。感謝の言葉なんか最後の4,5行でいいだろ。アキコが書くべき内容は、ロシアの文化に触れた感想だろ。日付順の作文フォーマットじゃなくて、ロシア文化に触れた驚きとか日本の文化の違いとかそういうのを順番に書いていけばいいんだよ。」


【書き直したアキコの作文】

 数日後、ここまで言われたアキコは全面的に作文を書き直してきた。
 作文のフォーマットを変え、心構えを変えたら、見違えるほどよくなった。

 作文のタイトルは「ロシアの文化と日本の文化」であった。
 いくつか手直しをして完成した。次の作文である。


■ロシアの文化と日本の文化
                                                                          アキコ
 小学校四年生の時に抱いた夢「ロシアを直接この目で見て、共通点や相違点を調べるという夢」がようやく叶う!出発の前日、私はそわそわしていて、なかなか眠りにつくことができませんでした。

 K市派遣中学生代表団募集の際に提出した作文に、私は、「この夢が実現したら、ロシアの暮らしを心と体で体験してきます。」と書きました。今回、体験し感じたロシアの文化を、日本の文化と比べながら、五つ紹介します。

 第一に、ロシアには一軒家が見当たらないことです。ロシアの町の右を見ても、左を見ても、マンションみたいな建物(集合住宅)ばかりです。日本では当たり前の一軒家がないのです。
 なぜロシアでは、日本のように一軒家がないのだろうと、疑問に思いました。すると、社会科の授業で習った「共産主義」という言葉を思い出しました。そして、この共産主義について考えていたら、なぜロシアに一軒家がないのかという疑問の答えを、自分なりに思いつきました。ロシアは、かつてソビエトという社会主義の国で、平等な世の中を作ろうとしていました。だから、家の造りも同じにして、貧富のない世の中を作ろうとしていたのだと思います。この考え方が、今も受け継がれていて、ロシアの家は、一軒家がないのだろう、と私は思います。

 第二に、ロシアの料理は、日本の料理に比べて、どれも油っぽいことです。私は、ロシアで有名なボルシチやピロシキを食べることを楽しみにしていました。他の料理も、どんな味がするのかとわくわくしていました。ところが、ロシアの料理は、どれも油っぽくて驚きました。作ってくれた方には本当に申し訳なかったのですが、あまりに油っぽくて、完食できない時もあったぐらいです。
 そんなロシア料理でも、私がとてもおいしいと感じるものがありました。それは、ロシアのラーメンです。麺は日本の麺よりも太くて、一本一本が短かったです。味は醤油味で、さっぱりしていました。ラーメンというよりも、スープにマカロニが入っているみたいでした。とてもおいしかったです。

 第三に、これはロシアの郷土博物館で昔のロシア人の生活について学ぶ中で気づいたことですが、昔のロシア人は自然をとても大切にしていたことです。服やくつ、赤ちゃんのおもちゃ、スキーやそりまで動物の皮を使って作っていました。私は、とても驚きました。
 ロシアでは「私たち人間は、もともと動物から進化してきたという考え方から、動物、そして自然を大切にしていた。」そうです。
 父にこのことを話したら、
「日本の場合、八百万の神がいて、山や川などの自然を神の化身や、神の住み家だと考えてきたから、自然を大切にしてきたんだよ。」
と言って、「里山」の話をしてくれました。
 昔の日本は、里山という身近な森をとおして、燃料の薪から、山菜や木の実、小動物という食料まで手にしてきたそうです。そして、昔の日本も、里山という身近な森を手入れして大切にしてきたそうです。
 考え方は違っても、日本もロシアに負けずに、自然を大切にするという心を持ち続けていきたいと思いました。

 第四に、これは日本人と一番違う文化だと思いますが、ロシアでは、夜にみんなが汗をかくほどダンスをすることです。保養所シャルゴーリでは、夜の八時過ぎにもかかわらず、みんなが汗をかくほど激しく踊っていました。
 日本では全く考えられないことだったので、最初は踊ることに抵抗がありました。ところが、だんだんと抵抗がなくなり、「みんなで踊るって楽しい!」と思うようになりました。今では、ロシア人の幸せそうに踊るダンスに感激するほどです。
 日本人は、夜は静かに家の中で過ごすものだと思っています。一方、ロシア人は、夜は外に出てみんなで踊るものだと思っています。夜のすごし方は、国によってこんなにも違うものかと驚きました。

 第五に、日本の神社などでよく見かけるお守りが、同じくロシアにもあったことです。しかも、ロシアのお守りは各自の手で作るということです。たとえば、夫が遠くに仕事に行く時に、妻が安全を祈ってお守りを作り、夫に持たせます。ロシアのお守りには、一つ一つ愛情がこもっているのです。
 私も、このロシアの旅では、いくつかのお守りを作ってきました。一つ一つに愛情を込めて作ることは大変でしたが、とてもよいお守りが作れたのでよかったです。

  最後になりましたが、この旅に向けて準備をしてくださった市長さんをはじめ、関係者の方々、本当にありがとうございました。
 このすばらしい旅は、私の一生の宝物です。

【作文を上手に書く方法とは】

 作文はしんどい仕事だ。楽をして上手に書く方法などない。(読者のみなさん期待を裏切ったらごめんなさい。)

 先ず第一に、よい体験が大前提だ。そもそもこれがなければ、書くネタがない。よいネタを得るには、よい体験をすることだ。アキコは、中学2年でロシアを1週間旅したわけだから、十分に合格である。
 
 第二に、お手本(モデル)となる作文をもとに、よいファーマットを選ぶことが大切だ。参考にしたお手本・フォーマットがよくないと、よい作文はできない。

 第三に、ある意味、これが一番大切だと思うが、書く志・構えである。「とにかく課題だから終わらせてしまえ。書けばいいんでしょ。」という構えでは、決してよい作文はできない。たとえば、<読者を満足させる最高の作文を書く>というような構えでなければいけない。書き手には、読者への旺盛なサービス精神、真摯な姿勢が望まれるわけである。

 第四に、作文技術である。<主語述語がきちんとした文が書ける>からはじまって、結構な研鑽が必要だ。アキコは、小4から3年間ベネッセの作文講座を受けており、この点は一応合格水準にあると思う。(まだまだだとは思うが)

 第五に、アキコらしさの表現である。アキコならではの感性、見方が表現されているとよい。

 ざっと書いてきたが、私がとても気に入っていて、共感するのは、元「天声人語」筆者の辰濃和男さんの次の文である。

「~私がいつも思うのはいい文章のいちばんの条件は、これをこそ書きたい、これをこそ伝えたいという書き手の心の、静かな炎のようなものだということです。大切なのは、書きたいこと、伝えたいことをはっきりと心でつかむことです。そのとき、静かな炎は、必要な言葉を次々とあなたに贈ってくれるでしょう。~」(『文章のみがき方』8ページより引用)

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