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わが子の成長に涙した日! 第916号ー特別支援学級の子どもと交流学習を進める価値ー [O4 特別支援教育]

◆リード:私の気が付かない間に、アキコは「私の夢 父の夢」というタイトルの作文を書いていた。それが学校の代表に決まり、担任からこの文章を発表してよいかという許可伺いが来て、初めて作文の内容を知った。それは、読んでうるっとくる内容であった。
 

2012.8.23 わが子の成長に涙した日! 第916号

ー特別支援学級の子どもと交流学習を進める価値ー

近況
 アキコがロシアに出発する前日の7月29日(日)、私はアキコの練習試合の応援に行った。補欠だから、2試合目に少しだけ出場するのだろうと思いきや、先発レフト9番打者であった。3年生が部活動から卒業した後、見事レギュラーの地位を確保したのであった!
 8月19日の公式試合用に「7」番の背番号ももらっていた。
 ところが、ロシアに交流団の一員として参加し、部活動の練習を1週間お休みしている間に、レギュラーの地位は奪われてしまっていた。19日の公式試合では、スコアラーであった。
 8月19日の公式試合は、妻とクニコといっしょに応援していたのであるが、ついに一打席もバッターボックスに入ることはなかった。
 なんとも厳しい世界である。

【発表原稿のタイトル「私の夢 父の夢」】

妻「お父さん、アキコが意見発表会の学校代表になったんだって。」

アキコ「お父さん、先生がこの内容で発表してもいいかって。」

 発表原稿のタイトルを見ると、「私の夢 父の夢」とあった。読んでいくと、私のこともかなり書いてあるので、そういった意味でも、この内容を学校の代表として発表してよいかという意味であった。


【アキコの発表原稿にうるっとくる】

 読んできてうるっときてしまった。

■発表原稿出だし
 ~
 「特別支援学級の子を一人でも多く通常学級に迎え入れたい。」
 これは父の夢です。また、私の夢でもあります。
 父は、特別支援学級の先生をしています。そして、毎日くたくたの状態で家に帰ってきます。それにもかかわらず、家に帰ってからも、
「あの子はどうしたらもっと集中できるかなあ。」と特別支援学級の子どもたちのことを考えています。
 父には、ある口ぐせがあります。それは、
「お父さんは、何としても特別支援学級の子を通常学級に迎え入れてあげたいんだ。」という言葉です。私は、これを聞いたとき、父は仕事だから働いているのではない、心からそう願っているから、こんなに毎日一生懸命なのだ、ということに気づきました。

 
 アキコがこんなふうに、私を見ていたとは……。私は、うるっときてしまった。

■特別支援学級の子どもをクスクスと笑ったエピソード

 ある日、放送で特別支援学級の子の好きな曲が流れてきました。すると、その子は、歌に合わせてリズムをとり始めました。そのとき、
「クスクス。」
と、起こる笑い声。さらに、その姿を見ながら、ひそひそと何かを言い始めました。この様子を見て、私の心にくぎが打ちささりました。同じ仲間に対してとった心ない行動が許せませんでした。そして、そんな行動をとった人たちはなんてかわいそうなのだろうと思いました。人がリズムをとっているという楽しい光景を、嫌な光景にしてしまうなんて……。
 このような行動を私たちがとっているかぎり、彼らは通常学級を怖いところと感じてしまい、私たちに心からうちとけてくれることはないでしょう。
 はたして、このままでいいのでしょうか。


■椅子がなくて立ったままの特別支援学級のA子

実は、私にも似たような経験がある。

 交流学級で英語の授業に参加しているA子の様子を見に行ったときのことである。
 英語の授業は、長机を並べた教室に折りたたみ式の椅子を並べているだけの特別教室で行われるのだが、A子だけが立っているのだ。よく見ると、A子には椅子がない。
 見渡すと、A子のいる長机の所からずいぶん離れた所にある長机に空いていた椅子があった。私は、それをA子のいる所へ運んできた。ようやくA子は座ることができた。

私「椅子がなかったら、よく探すか、お友達に聞いてみるんだよ。」

A子「うん。」

 こうは言ったが、私にはA子の周りにいた通常学級の子どもたちの神経を疑った。

「特別支援学級のお友達がすわる椅子がなく困って立ったままなのに、それを目の当たりにしながらよく平気で座っていられるな!」

と。その気持ちを抑えながら、

私「(A子さんは)困っていても、なかなか言えないこともあるから、気づいたら気を配ってあげて。」

と話した。
 その後、担任にも話をした(担任はまだ特別教室に来ていなかった)。
 職員会議の折にも、A子の「椅子がなくて立ったままでいた件」を話し、「(困っていても)言葉でうまく言えないこともあるので、まず担任がよく見ていてほしい。そして、あたたかい気遣いをしてほしい。そうした姿を見て、子どもたちもまねていく。」というような話をした。
 つまり、私も交流学級の子どもたちの無神経ぶり・冷たさに心を痛めていたので、アキコの気持ちがよくわかった。(※ 念のため言っておくと、あたたかい気配りをしてくれる学級ももちろんある。そちらの方が多い。)


■アキコの発表原稿続き

 ~はたして、このままでいいのでしょうか。
 私は、今のままの自分たちだったら、将来必ず後悔すると思います。
 私は今、周りの人の長所を見つけるように努力しています。特に特別支援学級の子どもの長所を。
 なぜなら、彼らの長所を私が発見し、それを周りに発信していけば、彼らに対する誤解や偏見がなくなり、彼らの輝ける舞台が、もっと広がると思ったからです。そしてこの活動を続けていけば、いつかきっと安心して通常学級で過ごすことができると、私は信じています。
 そんなふうに考えると、私の心に、彼らを含むクラスメイト全員が、みんなで笑っている、そんな風景が見えてきます。

 ここで私は、じ~んときた。うれしさがこみ上げてきた。
 交流学級の子どもたちが、もう少し特別支援学級の子どもにやさしい子どもたちになってくれたら……。このように思ってきたが、わが子がそのようなやさしい子に育っていた!

 「何よりも思いやりのある子に育ってほしい」と願ってきたが、本当にそんな子に育っていた! 私はうるっときた。


【アキコの発表原稿全文】

 その後、アキコは市の発表会では、市の代表(2名選抜)にもなった。
 そして、昨日は、近隣5市町村の22校4,433人の応募の中から選ばれた11名の一人として意見発表をした。次のとおりである。

 特別支援学級の子。あなたの学校にもそういう子がいるのではないでしょうか。そして、あなたは彼らのことをどのような目で見ていますか。
 「特別支援学級の子を一人でも多く通常学級に迎え入れたい。」
 これは父の夢です。また、私の夢でもあります。
 父は、特別支援学級の先生をしています。そして、毎日くたくたの状態で家に帰ってきます。それにもかかわらず、家に帰ってからも、
「あの子はどうしたらもっと集中できるかなあ。」と特別支援学級の子どもたちのことを考えています。
 父には、ある口ぐせがあります。それは、
「お父さんは、何としても特別支援学級の子を通常学級に迎え入れてあげたいんだ。」という言葉です。私は、これを聞いたとき、父は仕事だから働いているのではない、心からそう願っているから、こんなに毎日一生懸命なのだ、ということに気づきました。
 では、な
ぜ特別支援学級に所属する子どもたちは、通常学級で生活する方がいいのでしょうか。
 それは、彼らが成長するためでもあるし、私たちが成長するためでもあります。通常学級は、特別支援学級に比べて人数が多いです。だから、たくさんの友達と協力し合うことで、一人ではできない、多くのことに挑戦することができます。また、私たちは周りの人をサポートすることで、相手に対して優しい心をもち、様々な人との付き合い方を学ぶことができます。つまり、彼らが通常学級で生活することで、私たちの心も大きく成長することができるのではないか、と考えます。
 そして、私たちは、このように学校生活の中で彼らをサポートすることができているのか、と考えました。
 ある日、放送で特別支援学級の子の好きな曲が流れてきました。すると、その子は、歌に合わせてリズムをとり始めました。そのとき、
「クスクス。」
と、起こる笑い声。さらに、その姿を見ながら、ひそひそと何かを言い始めました。この様子を見て、私の心にくぎが打ちささりました。同じ仲間に対してとった心ない行動が許せませんでした。そして、そんな行動をとった人たちはなんてかわいそうなのだろうと思いました。人がリズムをとっているという楽しい光景を、嫌な光景にしてしまうなんて……。
 このような行動を私たちがとっているかぎり、彼らは通常学級を怖いところと感じてしまい、私たちに心からうちとけてくれることはないでしょう。
 はたして、このままでいいのでしょうか。
 私は、今のままの自分たちだったら、将来必ず後悔すると思います。
 私は今、周りの人の長所を見つけるように努力しています。特に特別支援学級の子どもの長所を。
 なぜなら、彼らの長所を私が発見し、それを周りに発信していけば、彼らに対する誤解や偏見がなくなり、彼らの輝ける舞台が、もっと広がると思ったからです。そしてこの活動を続けていけば、いつかきっと安心して通常学級で過ごすことができると、私は信じています。
 そんなふうに考えると、私の心に、彼らを含むクラスメイト全員が、みんなで笑っている、そんな風景が見えてきます。
 人間は、一人一人が個性を生かしながら、一つのチームを作っています。それでみんなで協力し合って生きているのです。
 だからこそ、そのためには、皆さん全員にこの活動をしてほしいのです。
 「特別支援学級の子を一人でも多く通常学級に迎え入れたい。」
という父と私の夢。私は、彼らにとって通常学級が、本来の学級だと思ってもらえるようにしたいです。だから、私は、これからも彼らの長所を探していきます。
 そして、私は願っています。
 彼らと最高の笑顔を作れる日を。


【優秀賞だったアキコ】

 11名の中で、2年生はアキコ一人で、他の10名はみな3年生であった。最優秀賞には選ばれなかったが、アキコは2番目の優秀賞(2名のうち1名)であった。

妻「アキコの発表は堂々としていてびっくりしたわ。野球で大きな声を出す練習をしてきたからだわ。」

 私は、大事な会議があり、どうしても参観できなかった。妻の撮影したビデオを見た。声ははっきりしていて、本当に堂々としていた。すべて暗記した状態でスピーチ原稿を一切見ないことはもちろん、時折身振りも入れていた。何でも、過去の県大会のビデオも見たりして、指導する先生といっしょに練習したのだという。

 翌日、実母も実母の親友もそのビデオを見た。

実母「普段のアキコのとおりだね。アキコは、優しい子だ。」

実母の親友「まあ、父親のことをよく見ているわね。感動して涙が出てしまったわ。」

 私も、2度目だがついうるっとしてしまった。
 賞の結果など、二の次三の次……。私は、アキコが父親であり特別支援学級の教師をしている私を尊敬の目で見ていること、そして特別支援学級の子どもに対してあたたかいことー本当に思いやりのある子に育ったことーがうれしかった。

実母の親友(息子が中学校の教員)「わが子のこともめんどうを見たいという気持ちはあるのよ。でも、くたくたで帰ってくると、思いはあっても(気力がなくて)なかなかできないのよ。それをやってきたからだわ。今までの努力が報われたわね。」

私(うるっとしながら)「そう、そうですね。」

 
私は、これまでの子育ての努力が報われたような気がした。


◆キーワード:1 交流学習の価値  2 特別支援教育  3 わが子の成長

◆留意点・その他:

・優秀賞のアキコは、翌日の地元紙に紹介されていた。


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コメント 4

よしぞう

なんて素晴らしい文章なんでしょう。家族に読んで聞かせました。
妻は、どうしたら、こんな風に育てられるのか…と言っていました。
早くファーザーさんの本を読みたいものです。
9月のキャンプの大きな話題ですね。
楽しみにしています。
by よしぞう (2012-08-25 08:25) 

bittervalley

すばらしいですね。父親の姿をしっかりと見ている娘、そしてそれを見せている父親。感動です。
by bittervalley (2012-08-25 08:58) 

ファーザー

>よしぞうさんへ
コメントありがとうございます。
家族にも読んで聞かせたそうで、ありがとうございます。でも、少しはずかしいですね。

どうしたら思いやりのある子に育つか。私は、次のように考えてみました。「思いやりのある子に育てる方法 第782号」http://kazoku.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01

出版社については、8月現在まだ決まっていません。
9月のキャンプ、私も妻もアキコもクニコもみんなとても楽しみにしています。


by ファーザー (2012-08-30 18:16) 

ファーザー

>bittervalley さんへ
コメントありがとうございます。
国語(と英語)が専門の、bittervalley さんにほめられると、特にうれしいです。

ブログを読んでいただいていたようで、ありがとうございます。実は、私もbittervalley さんのブログは拝見しています。

今回の作文は、本当に感動してしまいました。妻が撮ってきたビデオは、もっと感動です。そのうち、音声だけでもアップしようかと思っています。

父親業を真摯にやってきてよかったなと心から思いました。
by ファーザー (2012-08-30 18:21) 

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