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嫁と姑の問題 その8 第910号ー神様との約束ー [K2 親孝行]

◆リード:前号に書いたように、嫁と姑の問題は、私自身が実母をどれだけ大切にするかという、私自身の親孝行の問題となった。1階と2階で棲み分けし、毎週土曜日にいっしょに食事をとるという現状から、毎夕食いっしょに食事をとる生活へ変えることに決めたが……。

2012.8.8 嫁と姑の問題 その8 第910号

ー神様との約束ー

 前号で書いたように、実母はいつの間にか年をとった。自転車に乗って頻繁に遊びに来ていた友達も、自転車に乗れなくなり、遊びに来る頻度は大きく減った。一人で食事を作ってきた実母は、しだいに自分だけの食事を作るのがめんどうになり、菓子パンやコンビニおにぎり、それに生野菜を摂る量が減っていた。何よりも、1階でテレビを見ながら一人で夕食を食べている実母に思いをはせるとき、私は心が痛んだ。


【妻を説得(前号より)】

 まず、妻を説得にかかった。

私「1階と2階に棲み分けて、6年以上も経つんだよ。母も年をとったんだよ。菓子パンやセブンイレブンのおにぎりばかりで、野菜が摂られていない。このままだと、病気になってしまう。それに、親友のTさんも、Wさんも、年をとって自転車で遊びに来ることができなくなっているんだよ。だから、会話も減っているんだよ。このままだと本当にぼけてしまうよ。ウイークディ(とりあえず月・水)もいっしょに食べるようにしようよ。」

 私の真剣な説得が功を奏して(そして、これまで妻や子ども、義母・義兄を大切にしてきたのが、よかったのだと思うが)、妻は同意してくれた。(以上、前号より引用)


【難しい実母の説得】

 問題は、実母の説得である。

私「お母さん、一人で食べてないで、ウイークディもみんなでいっしょに食べようよ。タカちゃんが夕食を作るから。 いきなりだとあれだから、とりあえず月曜日と水曜日にいっしょに食べよう。」

実母「そんな中途半端なことはしない。(月・水だけじゃなくて)やるなら毎日だよ。」

私「お母さん、月曜日はアキコの部活はないし、クニコのエレクトーンも6時過ぎに終わるから、みんなそろうんだよ。あと、水曜日の7時30分頃にはクニコの新体操が終わってみんなそろうんだよ。これ以外は、クニコのソロバン(6時過ぎから8時まで)やアキコのエレクトーンがあって、みんなそろっては夕ご飯は食べられないんだよ。」

 こうは言ってみたものの、実母の考えは変わらなかった。

私(うーん。まず手始めにアキコ・クニコのそろう月・水と思ったけれど、そろわなくてもいいというなら、いきなりウイークディ全部いっしょでもいいか。)

 こう思って、それで行こうと思っていたら、実母はそれでもダメだと言う。

実母「夕食をいっしょに食べるだけじゃなくて、テレビも1階に置かなきゃダメ。」

私「どうして。2階でだって、夕食後はまずテレビは見ないよ。」

 こうは言ってみたものの、実母は「テレビも1階に置かないとダメ。」、それが絶対の条件だという。夕食だけいっしょに食べて、その後、すぐに2階にみんな行ってしまうのを恐れているようなのだ。
 おまけに、1階と2階の棲み分ける際に、1階の和室の一つを納戸にしたのだが、「そこも復元して部屋に戻す」ことも条件だという。その部屋はトイレに近く、「冬場はそこも使いたい」という。

 これでは、次から次にハードルが上がってしまい、実現が難しくなってしまった。
 
私(テレビはどうせ夕食後はあまり見ないからいいにしても、朝はないと困る。朝は早いから1階と2階で別々に食事じゃないと困るし……。6年前と違って、物が増えているから、とても納戸にしている和室を元に戻すのは難しいし……。このままでは妻の同意を得ることも難しい……。)

 かくて、昨年暮れから今年1月にかけて説得したのだが、話が進まなくなってしまった。

私「まず、テレビの移動や和室を納戸にすることを棚上げして、とりあえずウイークディもいっしょに食べようよ。」

 こう言うのだが、実母は、「テレビも下に置かないとダメ。」「納戸も和室に戻す。」の二点は絶対に譲らず、「それが実現しないうちはダメ。」と言ってきかなかった。


【実母、風邪を引く】

 説得を初めて4ヶ月が経った。
 一向に話が進まない。
 私は、こうなったら、実母の条件を丸呑みするしかないと思い始めていた。

 5月の連休の直前ことである。
 私が朝、実母の所に行くと、実母はベッドでまだ寝ていた。

私「あれ、まだ寝てたん。」

実母「昨日の夜から、ちょっと具合が悪いんだて。」

私「じゃあ、ご飯も食べていないんだね。タカちゃんに作ってもらうて。」

実母「タカちゃんなんか、私が具合が悪いのに気づきもしないで……。」

私「だから、すぐに何か作ってもらうよ。」

 結局、実母が元気になる2,3日の間、ずっと家族5人で食事をしていた。
 結果として、ウイークディもずっと5人で夕食を食べるリハーサルのような形となった。


【すべて受け入れることになってもいいから実行】

 5月の連休も終わる頃、私は実母に提案した。

私「お母さん、ウイークディもいっしょに家族5人で食べようよ。とにかく試しに1ヶ月やってみよう。」

実母「だったら、あの条件もいいけ。」

私(まだ妻の許可を得ていないが)「わかったから、僕がいいように(妻に)話すから、とにかく1ヶ月やってみようよ。」

 妻は、私の言いように内心あせっていた。(妻は、自分が作ってウイークディもいっしょに夕食を食べるのはいいが、テレビを1階に移すことも、納戸を和室に戻すことにも反対であった。)

 私としては、実母の出す条件すべてを受け入れてもいいから、1日も早くウイークディもいっしょに夕食を食べた方がよいと判断していた。
 
 かくて5月の連休の終わる頃から6月のはじめまで、1ヶ月の試行期間が始まった。


【試行期間後……】

 やってみてどうだったか?!

 結論を言えば、グッドであった。
 実母は、バランスの取れた食事を満足して食べていた。
 朝食・昼食については、実母はまだまだ元気なので、自分で作って食べている。
 金曜日はこれまで通り、実母がアキコ、クニコの分の夕食を作って、3人でいっしょに食べている。
 
■夕食をいっしょに食べるメリット
 夕食をいっしょにしたことで、まず会話が増えた。私自身心がけて話すようにしたし、妻やアキコ、クニコにも、少しでも話すように働きかけた。
 食後にすぐに2階に上がらないで、何か会話してから2階へ行くようにみんなで心がけた。
 この「顔を合わせての会話が増える」というメリットは、きわめて大きい。今日の出来事や今週の予定など、自然に話し合うことができた。また、表情だけで、お互いの調子(元気度というか健康度、ストレス度など)が分かり、私は安心できた。

 もちろん、野菜を含めバランスの取れた食事を実母はとることになり、私はその意味でも安心であった。

 肝心の実母の評価であるが、時折すぐに2階に行くと、不満はあるものの、基本的に満足していた。
 1ヶ月の試行期間が過ぎても、問題なくそのままの形で今日に至っている。

 危ぐしていた、2階のテレビを1階に置くことや、納戸を和室に戻すことなどの条件を持ち出されることも、今のところない。
 結局、実母はそうでもしないと、夕食だけ食べたら2階にテレビを見に行ってしまい、食後の会話もなく、夕食だけいっしょに食べることになることを危ぐしていたのだ。
 夕食後も、心がけてそのまましばらく会話するように心がけたことで、実母の不満や危ぐを未然に防いだ形になったわけだ。


【ようやく達成】

 現在は、毎日夕食(書道教室のある金曜日を除いて)をいっしょにとることで、実母との会話もあり、食事の栄養の問題も心配なくなり、一安心である。
 
 もしも私が、厳しい(おかしな)条件を出してくる実母が悪いと思って、リーダーシップをとらず、結果として先延ばししていたら……今でも、別々に夕食を食べていたことだろう。実母が病気になったり、ぼけ始めたりして初めて対応することになっただろう。
 私としては、それは避けたいと思った。厳しい条件を丸呑みしても。

 シリーズで書いてきた嫁と姑の問題。それは、嫁と姑という問題を超えて、子どもとして親の実母にどう孝行するかという、実は私自身の問題であった

 そして、幸いなことに一応の解決をみた。

【見えてきた光】

 だが、妻(嫁)と実母(姑)の関係がとりたててよくなったわけではない。また、険悪なわけでもない。ある意味、実母の要求が高すぎたのかもしれないとも思っている。
 今後、いっしょに夕食を食べ、会話する時間を共有する中で、わだかまりや誤解は自然と解けていくのではないかとも期待している。
 
 ともあれ、こうして妻はみんなの食事を作り、みんなで夕食を食べ、語らっている。

 実母の望んでいた「京都旅行よりも、普段の居心地のよい方がよい」に近づいたと思う。


【神様との約束】

実母「京都旅行よりも、普段がいい方がいい。」

 こう言った実母の願いに応えるべく、妻のせいにすることなく、まず私自身が実母を愛するように努力してきた。
 そして、妻に協力を求め、妻もそれに応えてくれた。
 もともとあーちゃん(実母)大好きの、アキコ、クニコは、あーちゃんを大切にすることは、もちろんである。

 実は、私は神様とある約束をした。

「もし私が(そして妻とアキコ、クニコが)、実母を心を込めて大切にするなら、神様は、実母の寿命を倍にしてくださる。」

 というものである。
 寿命があと2年だったら4年に、あと5年だったら10年に、あと7年だったら14年に。


■アキコを送る車の中で

 7月も終わる頃、アキコを少林寺拳法の会場に送る途中、アキコにこう話した。

私「アキコ、あーちゃんはもう78歳なんだ。あーちゃんの妹は2年前にもう亡くなったろ。あーちゃんだっていつまでも元気でいるわけじゃないんだよ。 お父さんは、神様にお願いをしたんだ。もし私たちがあーちゃんを、心を込めて大切にしたなら、あーちゃんの寿命を倍にしてくださいって。もしあと2年なら4年に。もしあと5年なら10年にって。これは神様との約束だ。 七夕の願い事で、あーちゃんは<アキコがロシアから無事帰ってきますように>と<アキコとクニコの背が高くなりますように>って書いてたんだよ。自分のこと以外のことばかりを願い事として書いたのはあーちゃんだけなんだ。アキコも、(そんな)あーちゃんが長生きした方がいいだろ。 だから、あーちゃんを大切にするんだよ。」

アキコ「うん。」

 私は、神様との約束を本当に信じて、実母を大切にしようと思っている。
 

◆キーワード:1 嫁と姑  2 親孝行  3 介護

◆留意点・その他:

・その後、10月早々にはテレビを1階に移した。2階にはテレビはない。したがって、朝食も1階である。ただ、あーちゃんは朝食は遅く、一人で作って食べている。本当の同居の形となった。ただ、納戸の移動もほぼ完成しかけたとき、実母は「実母はそのままでもいい。」と言ってくれた。つまり、すべて実母の言うとおりに丸呑みしたのだが、実際は、今のところ納戸の移動を完全にはする必要はなくなった。


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