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 PTA便りの原稿へのアドバイス 第828号ー中学校入学にあたってー [D6 親が教える・その他]

◆リード:PTA便りに載せる文章を書くように依頼されたアキコ(中1)から、どんな作文を書いたらいいか、相談を受けた。これは信頼されている証拠であるが、それに応えるには、親自身も絶えず学び成長する必要がある。

2011.6.10 PTA便りの原稿へのアドバイス 第828号

ー中学校入学にあたってー

【PTA便りの原稿依頼が来る】

 6月10日(金)夜のことである。
 この春、中学1年生になったアキコが書斎に来てこう尋ねた。

アキコ「お父さん、これどういう意味? どんな作文を書けばいいの?」

 こう言いながら、アキコは、PTA便りに載せるという原稿依頼文を、私に見せた。

■原稿依頼<「入学にあたって」題名・氏名を含んで16行>

 合わせて13字×16行の原稿用紙も練習用・清書用の合わせて2枚入っていた。

私「うーん、<卒業にあたって>なら、まだ小学生ということになるね。<入学にあたって>というもの、なんだか入学前の小学生のような感じがする……。少し不親切な原稿依頼文だな。でも、この時期に依頼されているということは、次の二つの内容のどちらかを書けばいいと思うよ。

○一つは「入学後の感想」…学校の雰囲気とか、授業のこととか、部活がどうだとか。

○もう一つは「入学後の抱負」…アキコは野球部に入ったけど、部活と勉強の両立をがんばりたいとか。」

アキコ「『部活と勉強の両立』というのは、一般的すぎる。」


【「入学後の感想」という課題から作文の主題を決める】

私「そうだね。じゃあ、アキコは、○△中学校に入学してみて、どんな感想をもったの?」

アキコ「あいさつがよくてびっくりした。」

私「他に中学校に入学してみてびっくりしたことなど感想は?」

アキコ「授業で教科ごとに担当の先生が替わること。」

私「中学校は教科担任制だから、確かに大きな違いだね。他には?」(※ ここで教科担任制の感想も聞いてみたが、いまいち要領を得ない。)

アキコ「う~ん。」

私「野球部に入ってどうだとかさ。」

アキコ「いや、それはダメ。」

私「だったら、<あいさつがよくて素敵な学校だ>とかさ、それを主題にしたら。」

アキコ「わかった。」


【できあがった作文】

 かくてアキコは、一人で作文を書き始めた。

 アキコはわりとさっと書いて、私にできあがった作文を見せに来た。

 ほとんど添削する必要がないくらい、よくできていた。
 「<先輩や先生の明るいあいさつ>の部分を、<先生>を先にして、<先生や先輩の明るいあいさつ>の方がいいよ。」と言ったぐらいである。(※ あと一箇所あったが忘れてしまった。)

 完成した原稿は次の通りであった。

■ 明るい声を校内に
                              アキコ
 私が□□中に入学して一番印象に残った事は、「人との関わりを大切にしている」という事です。□□中はあいさつに力を入れていて、ろう下で先生や先輩とすれ違うとあいさつをするという習慣がついています。一年生としては先生や先輩の明るいあいさつを聞くと、ほっとします。一年生もだいぶ中学校生活に慣れてきたので、これからは一年生の明るい声を校内に響かせていきたいと思います。


アキコ作文中1.JPG

 私は、「とてもよくできているね。タイトルもすばらしい。」と心からほめた。


【わが子に信頼されるには……】

 「反発しがちな思春期のわが子への対応ーわが子の行事作文を指導する!ー第735号」に書いたように、アキコは同じように作文の依頼があったのに、私のアドバイスをなかなか受け入れようとしなかった。
 それに対して、第735号の終わりに次のように書いていた。


~ 私(おそらく妻も)は、なかなか聞く耳をもたないわが子も対して、多少煙たがられようとダメなことはダメと言うし、教えたり・アドバイスが必要だと思うときは、そうするつもりである。これが親としての基本的なスタンスである。

 このスタンスに立ったうえで、教えたり・アドバイスしたりするときには、この「利あり」を相手が実感できる段階ーやっぱり教えてもらってよかった・アドバイスをもらってよかったーまで徹底することを、私は心がけている。言い換えれば、教えたり・アドバイスしたりするうえで、これがコツであり、要諦であると考えている。

 誰しも、「苦さ」は嫌だし、「耳の痛い話」は聞きたくない。がしかし、「お父さん(お母さん)の教え・アドバイスに従ったら、やっぱりよくなった、うまくいった」(従わなかったから、大変な目にあった。)という利のある経験を重ねれば、やっぱり聞くようになるはずである。(第735号より一部引用)


 今回、アキコが自分から私のアドバイスを求めてきた。しかも、3回も。1回目は書く前に。2回目は一次原稿を書きあげた後に。3回目は完成原稿を書き上げた後に。

 おそらくは、前回反発しつつも、「やっぱりお父さんのアドバイスは聞く価値がある」と信頼されたからであろう。

 それに加えて、「先輩や級友も読むであろうPTA便りに下手な文章は書けない」というアキコの強い思いがあったに違いない。

 本人が強くアドバイスを求めているときに、それにできる限り応えられる父親でありたい。

 それに応えられる父親であるには、実際のところ心構えだけでは十分ではない。親自身も勉強する必要がある。分からないことはアドバイスしようがないからである。

 ちなみに作文について言えば、最近読んでとてもよかった本は次の本である。

伝わる!文章力が身につく本

伝わる!文章力が身につく本

  • 作者: 小笠原 信之
  • 出版社/メーカー: 高橋書店
  • 発売日: 2011/01/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


 親自身も学び成長しなければいけないと、私は考えている。

【関連記事】あったかい家族日記  「家族の広場」 

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◆キーワード:1 作文の書き方  2 親が教える  3 PTA便り依頼原稿

◆留意点・その他:

・いずれは、わが子が抜いていくのだろうが、できる限り応えられるように努力・成長は心がけたい。ただし、何でもは無理だ。得意分野をもって、そこで勝負すればよい。私の場合、作文はその一つである。
 水泳も得意分野の一つなのだが、いずれ抜かれるだろう。かつて後ろ二重跳びをして、アキコを驚かせた私が、アキコに縄跳びで抜かれたように。

・私は、木下是雄著「理科系の作文技術」に学んで(20代の初め頃)以来、最も主張したいこと(主題)を、一つの文またはごく短い文章(主題文と言う)にまとめるようにしてきた。そして、その上でその主題を支える根拠となる事柄を書くようにしてきた。
 たとえば、「入学後の感想」という課題からは、「あいさつ(がいい)」「中学校は教科担任制(でびっくり)」「部活動(は大変だがおもしろい)」など、いろいろな話題が考えられる。いくつかの話題から、一つを選んで主題文を書けばいいのである。たとえば、「部活動は大変だが、おもしろい。」というように。
 主題文が決まれば、それを支える根拠となる事実を書けばよい。たとえば、土曜日曜も練習があるとか、ヒットを打った時の快感とかを描写的に書けばいいわけだ。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

  • 作者: 木下 是雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1981/01
  • メディア: 新書


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