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父親の立場を下げない 第701号ー子育てのツボー [I-3 親の構え・役割]

◆リード:家庭教育カウンセラーの水野達郎氏の書いた「ころばぬ先の家庭教育」を読んだ。親業・カウンセリングをベースとした家庭教育の本である。「叱り役(父親)の立場を下げない」という一節は、確かに子育てのツボだと考えている。

2010.2.6 父親の立場を下げない 第701号

ー子育てのツボー

 水野達郎氏は、不登校児童の訪問カウンセラーとして不登校でお悩みの家庭の復学支援をし、現在は全国各地から寄せられる家庭教育の相談を受けている方である。


【父親が雷を落としたのに、効き目がなかったのはなぜか!?】

 水野氏の書いた「ころばぬ先の家庭教育」には、「10、叱り役の立場を下げない」という一節がある。少し長くなるが、引用する。

~それは病院の待合室のことでした。四十前後のお父さんとお母さんと、小学校低学年の男の子がいました。お子さんは病院の待合室が珍しいのかいすを手でバンバン叩いたり、走り回ったりしていました。お母さんは注意しましたが子どもはニコニコして一向にやめる気配がありません。(中略)お父さんは黙っていましたが奥さんから目配せを受けたらしく、とうとう雷を落としました。「他の人の迷惑になるだろ。黙って座ってなさい!」
 なかなかの迫力だったようです。待合室が一瞬シーンをなりその家族を見ました。その場にいた人のお気持ちを推測するに「よくぞ注意した。偉いぞご主人」と言ったところではないかと思われます。
 しかしです。そのお子さんは一瞬、両親のほうを見て動きを止めましたが、すぐに再び走り回り椅子の上で跳びはねたりしました。(中略)
 なぜ、父親が雷を落としたにもかかわらず、このお子さんは反省することなく親の注意をよそに再び公共の場で皆さんに迷惑をかけてしまったのでしょう。(中略)
 それは「父親が叱る立場を与えられていなかった」ということに尽きました。
(前掲書104p.~106p.より引用)


 「叱る立場を与えられていなかった」とは、どういうことかというと、普段から子どもの前で母親から父親の立場を下げるような言葉を言われており、それが子どもに伝播していて、子どもも馬鹿にするようになっていたというわけである。つまり、子どもは(母親も)、お父さんを馬鹿にしており、父親としての権威がなく、ちっとも恐くないという状態になっていたというわけである。


【父親の立場を下げる発言・下げない発言とは?!】

 では、母親は、どのようにして父親の立場を下げたか?!

 前掲書に挙げられている例を引用紹介する。


(夕食の準備をしている時に父から電話がかかってきて、仕事が長引くため夕飯はいらないという連絡が入りました。電話を切った後、母は子に言いました)
子「お父さん何て?」
母「お父さんは仕事で遅くなるんだって(不満げに)せっかく夕飯作ってるのにね」
子「そうだよね!」

(父が日曜日にリビングでテレビを見ながら寝ころんでいます)
子「今日、パパずっとリビングでごろごろしてるね」
母「本当ね。ぐうたらして家に居るのだったら部屋の掃除でも手伝ってほしいものだわ。」
子「僕は部屋の片づけをしたよ。パパは僕よりもナマケモノだ」

 このふたつの会話は子どもの前で父の立場を下げる発言になります。子どもがいないところで、夫婦ふたりだけで意見を言い合う分にはかまわないのですが、子どもの前では叱り役になるべき人の立場を下げてはいけません
 今の会話例であれば、

子「お父さん何て?」
母「お仕事で遅くなるって」
子「へ~。そんな遅くまで仕事あるんだ」
母「そうだね。大変だね~」

子「今日、パパずっとリビングでごろごろしてるね」
母「毎日、お仕事で頑張ってるからきっと疲れてるのね」
子「ふーん」

 このように、あえて母が父をさげるような言葉を言わなければ、父親の立場は保たれます。母が父に子を叱れる立場を与えることによって、子が問題行動を起こしたときに父親の力が発揮されるのです。普段から子どもとの距離が近く、子どもの前で母親から馬鹿にされている父親が雷を落としたところで効果が薄いのは歴然だと思いませんか。(前掲書106p.~108p.より引用)

 
 この水野氏の主張に共感する。
 わが子が父親を軽蔑ないし馬鹿にしていれば、その指示や注意、叱責など効果はほとんどない。糠に釘、のれんに腕押し状態となる。
 そして、わが子が父親を馬鹿にする背景には、母親のそのような態度があると、私も思う。
 普段、わが子が父親を軽蔑ないし馬鹿にするように育てておいて、いざという時、わが子を威厳をもって叱ってもらおうとしても無理な相談である。(これは、逆も真なりだろう。念のため。)


【父親の権威は母親によって保たれる】

 では、父親が子どもに馬鹿にされず、偉いと思われるにはどうしたらよいのか

 父親である私が、先ず第一に、仕事をすることで経済的に家族を養うこと。
 そのうえで、子どもと遊んだり、子どもに教えたりすること等々…。

 読者のみなさんは、このように考えただろうか。
 確かに半分はそうだろう。
 だがしかし、どんなにがんばっても、これだけでは、半分しかいかないと、私は考えてきたし、今もそう考えている。(そもそも、夜遅く家族のためにがんばって仕事をしているのに対して、先のような立場を下げる対応されたら、どうしようもないではないか。)

 では、父親が子どもに馬鹿にされず、偉いと思われるにはどうしたらよいのか!?

 私は、妻である母親こそ鍵であると考えてきた。

 「自分(子)が慕ってやまない母親が従っているから、偉いと思っているようだから、父親というものは偉いのだ」(母親の父親への態度から)と、子どもは考える。

 だから私は、子どもを従えるには、妻を従える必要があると、ずっと考えてきた。少なくとも、馬鹿にされないことは絶対だ!

 では、妻に馬鹿にされず、妻を従えるためにはどうしたらよいか!?

 仕事をすることで経済的に家族を養うこと

 父親として子育ての役割を果たすこと

 妻を大切にすること。妻の話を聞くこと。間違っても妻を馬鹿にしたり、軽んじたりしないこと。妻に決して手を挙げないこと……。

 こうした正攻法で、私はやってきた。

※ がしかし、最終的には、<普段、わが子が父親を軽蔑ないし馬鹿にするように育てておいて、いざという時、わが子を威厳をもって叱ってもらおうとしても無理な相談>だし、<わが子をよく育てるために、立てておこう>という妻の判断であり、わが子への愛であろうと思う。


【ファーザー家の場合は?!】

 妻に先の一節を見せ、わが家の場合はどうか、直接聞いてみた。

 結論を言えば、わが家はぎりぎりの合格である(らしい)。

 妻は、私の立場を下げることはほとんどないが(時たまある)、父親の立場を上げる(カバーする)という点では、積極的な面があまり見られないから

 「己の欲するところを人に施せ」ということで、まず私からそう心がけるにしようと思う。

 もう20年も昔の話だ。当時、学年主任だったある女性は、「(しかたなく)夫である父親を立てている。そうでないと、子どもがよく育たない」とよく言っていた。

 私としては、子どもの教育上、しかたなく立てるのではなく、立てるに値する夫・父親でありたいものだ。なかなか難しいが、そうありたいし、そうした努力は続けたい


 

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◆キーワード::1 父親の権威  2 父親  3 夫婦関係

・戦前・戦後を通じて、日本の教育界最大級の人物とも言われる森信三先生は、『家庭教育の心得21』(致知出版社)の中で、次のように書いている。

 「~いかなる事情がありましょうとも父親軽視の種まきだけは絶対にいけません。と申しますのもわが子が「父親軽視」になり、やがて「父親」に対する不信感に陥りますと、わが子を根本的に駄目にしてしまうからです。ですから、わが子が真に可愛いのでしたら「父親軽視」の言葉や態度は絶対に根こそぎしなくてはなりません。~」


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コメント 4

ショコママ

この記事はとても共感できるものですね。
これに関連してですが、
叱るといことでひとつ質問です。
パパが叱っている内容や、せっかんの仕方に問題がある場合
ママはパパの前で子どもをかばう、または、パパの行動や言動を止めるというのも、威厳を下げる要素になると思うのですが、
私は、時としてそういうのはありではないかとおもうのです。
いかがでしょうか。
by ショコママ (2010-02-16 23:39) 

ファーザー

>ショコママさんへ
コメントありがとうございます。

たとえ正しいことでだったも、子どもの安全を脅かすほど厳しい叱り方だったり、叱っている内容自体があまりに道理に合わなかったりする場合、そうした父親の言動から子どもを守ることは、重要な母親の役割だと考えます。

こうしたことをしないと、母親への子どもの信頼は損なわれていくと思います。

普段から父親を立てているならば、そうした母親からのいさめの言動はきっと父親に伝わり、反省の気持ちを引き出すと思います。


by ファーザー (2010-02-20 20:01) 

ショコママ

ありがとうございました。ほっとしました。

いろいろな方の意見はほんとに貴重です
これからもよろしくお願いします。

育児感がとても似ているので
ファーザーさんのブログ楽しみです。
by ショコママ (2010-02-21 10:34) 

ファーザー

>ショコママさんへ

参考になったようでよかったです。
by ファーザー (2010-02-23 20:53) 

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