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窓ガラスを割った反抗挑戦性障害のAさんへの対応 その2 第661号 [O4 特別支援教育]

◆リード:反抗挑戦性障害のAさん(通常学級在籍)が、□月はじめのある日、石を投げて窓ガラスを割るなど大荒れした。校長も出張中で、放課後、私が保護者と対応することとなった。どう対応したか!?

2009.11.5 窓ガラスを割った反抗挑戦性障害のAさんへの対応 その2 第661号

 前号からの続きである。(前号を読んでから本号を読むことを勧める。)

【前号のあらまし】

 反抗挑戦性障害のAさんは、(特別支援学級にいる)亀を見たいのに、「5時間目の学習が始まったからダメ」と断られ、大荒れした。
 箇条書きに再録すると……

①教室の戸を何度も激しく叩く。

②「開けろ!」と大声を何度も上げる。

③○年生教室の、廊下に飾ってある粘土作品を壊し、欄間から投げつける。

④グランドへ出て、そこから2階にある特別支援教室に向かって石を投げ、厚~い窓ガラスを割った。
⑤ 特別支援学級で学習していたCさんが、そのガラスの破片でケガをした。

⑥迷惑放送(全校に大きな声で関係のない放送をする)をしそうになるが、指導員さんが止める。

⑦クールダウンさせようとするも、脱走。教務室にあった、収穫したばかりのお米をばらまく。

⑧指導員さんが捕まえようとするも、卓球台を倒し、外を逃げ回る。

 午後2時以降に限っても、これだけ大荒れした。

 そして、午後3時半、Aさんのお母さんが来た。

 校長先生は不在。教頭先生は、私に保護者の対応を任せるという。

 さあ、一体どう対応したらよいのか!!

 校長室には、既にAさんのお母さんが待っている。

 じっくりと考えている時間はないのである。(前号より)

 教室の窓ガラスは割れ、その破片でケガをした子供もいる。
 しかも、当の本人は「先生が悪い。」と言う。

 読者のみなさんなら、どう対応しますか?
(すぐに先を読まないで、3分ほど考えてみてください。)

 
【私の考えた根本原因と基本方針】

 「こうなる前に、ちょっとだけ亀を見せてあげればよかったかな。」
と思いつつ、「ピンチはチャンス」というフレーズが思い浮かんだ。

 「このピンチをチャンスに変えるにはどうしたらよいのか!」

 私は、自問自答していた。

○「臨時の指導員さんは、『亀をすぐに見せてあげなかったから…』と言っていたが、それは、原因ではなくきっかけだ。根本的な原因は、

『思い通りにいかないと何をやってもかまわないという、Aさんの生き方そのもの』

だと考えた。(背景には、そのやり方で今まで思い通りのことが実現してきた、欲求が通ってきたという現実があったことだろう。)

 こう考えると、この場合の最悪の対応は、<思い通りにいかないから大暴れしたら欲求(要求)が通った>となるような対応だな。

○「今回の場合、Aさんにしたことの責任をとってもらうことが、再発防止にもっとも有効」だと考えた。

 つまり、壊した窓ガラス代を弁償することと、ケガをしたBさんに謝ってもらうこと、そして倒した卓球台、壊した粘土作品…について、もとに戻したり、謝ったりしてもらうことである。

 私の中で、基本方針は決まった。
 しかし、これらの対応は、保護者の納得と同意が必要である。
 これからすぐに始まる保護者(Aさんの母親)との面談で、保護者を説得し、協力を得なければならない。

 どう説得するか!?


【保護者との面談ー説得ー】

 対応したのは、特別支援教育コーディネーターである私と指導員のDさんである。

 まず、事実を、Aさんを非難することなく、ありのまま伝えた。

 次に、いろいろ質問する母親に対してていねいに、誠実に答えた。

 そして、Aさんの成長を願い、愛情をもって、きちっとした方針のもとに対応してきたことを具体的な事例を挙げながら伝えた。

 合わせて、母親の思いや苦労など、共感をもってじっくりと聞いた。母親は、途中何度か涙ぐまれた。

 こちらのこれまでの対応から、私たちのことを信頼できると感じたようであった。

 そこで、私は当初から考えていたことを話した。

私「Aさんは、自分の思い通りにいかないと、わざと人が困ることをします。ここでしっかりと責任をとるということを学ばせないと、また同じ事をするでしょう。」

 こう言って、以前担任していたBさんが、学校のバトミントンのラケット壊して、弁償した例を話した。Bさんの親が、おこずかいから弁償させたこと、それ以来ぴたりとBさんが学校の備品を壊すようなことをしなくなったというエピソードを話したのである。

私「この件は、学校側に責任があります。石を投げていることに早く気づいて、体を張って止めれば良かったのです。かといって、このまま責任をとるということを学ばないと、Aさんのこういう行動は治らないでしょう。Aさんが責任をとるということを学ぶために、弁償という形をとることが一番だと思います。お金はあとで、こっそりお母さんに全部返します。本人が弁償させられたと信じればいいのです。」

 こう言って、説得した。

母親「3万円でいいでしょうか。」

 結局、Aさんのお小遣いから3万円を弁償する形で、明日夕方お母さんが本人を連れて謝りに来ることとなった。

私「ガラスの破片でケガをしたCさんには、私はこれから謝りに行きます。」

 こう言ったところ、

母親「私も、あとでAを連れて、一緒に謝りに行きます。」

 こう言った。

 …以上、3時30分から4時15分のことである。


【懇談後…】

 その後、お母さんは、Aさんと一緒に、特別支援教室の割れた窓ガラスを見に行った。

 帰り際、倒した卓球台を、私とSさんで一緒に元に戻した。

 そして、私と指導員のDさんの二人は、ずっと姿が見えなくなるまで、玄関で母親とSさんを見送った。

 この後、私は教務室にいた教頭先生に懇談の結果を伝え、ガラスの破片で頭にケガをしたCさんの家に謝りに行った。(続く)

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◆キーワード:1 保護者との対応  2 反抗挑戦性障害  3 器物損壊

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